【緊急提言】感染症対策の視点から 教会を患者集団(クラスター)としないために 土居弘幸(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科特命教授) 2020年3月11日

 感染症対策を専門とし、かつて厚生省(当時)健康政策局で災害医療などの危機管理事案を担当した経験もある土居弘幸さん(日本ナザレン教団教会員)は、公衆衛生の面から単に礼拝を続けるか否かだけでなく、この苦難を機に改めて礼拝のあり方が問い直されるべきと提言する。

 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議は、国内における感染状況を分析した結果、密閉空間など換気が悪く、人が密に集まって過ごすような場所が集団感染の主な原因となっていると発表しました。屋内の閉鎖的な空間で、人と人とが至近距離で、一定時間以上交わることによって、患者集団(クラスター)が発生する可能性を指摘しています。そして、クラスターが次のクラスターを生むことが、感染の急速な拡大を招いていると分析しています。

 政府は、こうした専門家会議の見解を踏まえ、イベントの大小にかかわらず、密閉空間など換気が悪く、人が密に集まって過ごすような場所を避けるよう、国民に呼びかけています。今の時期、教会堂は暖房機を使用し窓を閉めています。常に風が通る環境下にはなく、「屋内の閉鎖的な空間で、人と人とが至近距離で、一定時間以上」の環境で礼拝を守っています。すなわち、教会がクラスターになり得てしまう可能性が高いと考えられます。

 ある地域内(都道府県、市町村、あるいは県境を越えた地域内)で、明らかな感染源が不明な感染者が複数発生したとします。それぞれの感染源を探索する中で、複数の感染者を結びつける共通点が判明した場合、その共通点である集団がクラスターとして浮かび上がります。クラスターは、すぐには分からず目には見えません。後日、調査を行って初めて認識できるものです。地域における感染の拡がりを抑え込むためには、こうしたクラスターとなる可能性がある集団を、可能な限り少なくする必要があります。

 新型コロナウイルス感染症の市中感染(感染源が不明な感染)が始まっている地域においては(市町村からの注意喚起で判断)、教会堂に集まって礼拝を守る〝礼拝方法〟の変更を検討すべきと考えます。今こそ礼拝について、教会について主からの語りかけに耳を傾けてください。「霊と真理をもって父を礼拝する」とはどのような礼拝か。教会堂に集わずとも、キリストの体(教会)の一員であることを実感する礼拝をどうすれば確保できるか、皆で祈り求め、真実の礼拝を奉げる幸いを味わう機会となりますようお祈りいたします。

(どい・ひろゆき)


【一堂に会して礼拝ができない場合の対応例】

1.礼拝の式次第を事前に教会員に周知し(連絡網などを活用)、可能な限り同じ時刻に、賛美し、聖書を読み、主からの語りかけに耳を傾け、祈りましょう。

2.祈りは、教会員を主にあって一つにします。教会員一人ひとりの顔を思い浮かべ、祈り合いましょう。

3.牧師、信徒による戸別訪問(徒歩・自転車・自家用車を使用)は、極めて重要です。こうした交わりの輪を拡げましょう。そこで語られた〝証し〟を、教会全体で分かち合うことができれば幸いです。

4.インターネットを活用した礼拝ビデオ・メッセージの発信も有用です。しかし、その場合、インターネットを利用できない方々への対応をご検討ください。インターネットを利用できる教会員のお宅に少人数で集まることや(徒歩・自転車・自家用車を使用)、礼拝メッセージをCDに録音し郵送する方法なども考えられます。

5.電話による祈り合いも大きな励ましになるでしょう。手紙・はがきによる支え合いは、時を超え、場所を超えた素晴らしい恵みとなるでしょう。

6.教会堂でわずかな人数による礼拝も可能でしょう。その場合、事前に牧師と相談した上で行いましょう。

7.主への感謝の献げものを心がけましょう。どのような方法が良いか、主から示された方法で主に応えましょう。

【緊急提言】礼拝学の視点から(2) 礼拝 守る知恵と工夫を 土井健司(関西学院大学神学部教授) 2020年3月11日

特集一覧ページへ

特集の最新記事一覧

TO TOP