【夕暮れに、なお光あり】 大丈夫じゃないよ! 島 しづ子 2020年3月21日

 孫に「おかわりは?」って聞いたら「大丈夫です」と返ってきた。「どっちよ? お代わりするの? いらないの?」と聞くと「大丈夫って言ってるでしょ」とのこと。その直後、飛行機に乗った。アテンダントが隣の若い男性に「お飲み物はいかがですか?」と聞いた。男性は「大丈夫です」と言った。それで、若い人たちに「分かった、『大丈夫』は『いらない』ってことなのね?」と確かめてみた。そうだと言う。いつからそういう使い方するようになったんだ? まあ時代は我々の時代ではないので慣れるしかない。

 私の友だちは70歳以上が多い。この間、若い時から小さなトラブル満載の3人で待ち合わせした。約束の場所で3人目を待つこと30分。いつも早めに来る人なので、心配になり電話をするも出ない。何度もかけてやっとつながった。「降りる駅を間違えた」と言う。「なんで? 名古屋生まれでしょう!」とは言わなかったが、「じゃ、気をつけて来てね!」と待った。なんやかやで到着した友だちに「大丈夫?」と少し非難めいた口調で言った。するとびっくりした答えが返ってきた。「大丈夫じゃないよ。毎日こんなことばかりだよ!」だって。

 「大丈夫じゃないよ!」――素直に言える人はすごいと感心した。1年前かな? その友だちの財布紛失事件があった。車の中を捜索し、直前に行ったお店にも問い合わせをし、交番にも届けた。その後、自宅のソファーの脇から出てきたということがあった。3カ月前には携帯紛失。行きつけのジムのトイレに置き忘れ、誰かが事務所に届けてくれて無事に戻った。本当に大丈夫じゃないお年頃だ。私は年のせいで耳の聞こえが悪い。ある時息子から「聞こえないのか!」と言われた。「聞こえてないよ」と応えると絶句してた。我ら老人クラブでは互いの老いを面白がっているが、周囲の若者には迷惑かもね。が、誰もが通る道だからね。

 困っている人を路傍で見かけることがある。SNS情報によると、その時に「大丈夫ですか?」と聞くと倒れている人も「大丈夫です」と応えてしまうので、「お手伝いできることありますか?」などと声をかけると、相手はお願いしやすいと知った。そうか! そうだな。昨日、トイレにこもって出てこない人がいたので「大丈夫?」ではなく、「何かできることありますか?」と声をかけてみた。「大丈夫です」との返事。よかった。

「主があなたと共におられる」(ルカ1:28)

 しま・しづこ 1948年長野県生まれ。農村伝道神学校卒業。2009年度愛知県弁護士会人権賞受賞。日本基督教団名古屋堀川伝道所牧師。NPO愛実の会(障がい者通所施設)理事長。(社)さふらん会理事長。著書に『あたたかいまなざし――イエスに出会った女性達』『イエスのまなざし――福音は地の果てまで』『尊敬のまなざし』(いずれも燦葉出版社)。

【夕暮れに、なお光あり】 後悔しないために 島 しづ子 2020年3月11日

連載一覧ページへ

連載の最新記事一覧

TO TOP