WCC共同声明〝牧会的、預言者的、実践的使命を〟 連帯を通して希望を取り戻すように… 2020年4月11日

 新型コロナウイルスをめぐる状況が日々刻々と変わる中、世界教会協議会(WCC)のオラフ・フィクセ・トゥベイト総幹事は3月31日、世界各国のキリスト教団体から代表を招いたパネルディスカッションをオンライン上で開催した。各地の教会が置かれた状況は異なりつつも、インターネットを介した礼拝、情報共有を通して、キリスト者間の連帯を強める必要性については共有された。シエラレオネ教会連合のエブン・ジェームズ代表は、エボラ熱による被害の経験から、イスラム教徒とキリスト教徒が協働し、感染拡大を食い止める働きや、感染者の看護や埋葬などに取り組む現状について報告。韓国長老教会のペ・ヒュンジュ牧師は、教会が正しい情報に開かれること、地域への奉仕を通して人々の信頼を得ることの必要性について語った。

 イースターを前に、それぞれの教派・教団で語られた言葉や祈りに耳を傾けつつ、この与えられた試練を乗り越えるための知恵と展望を分かち合いたい。


WCCおよび各地域エキュメニカル組織による共同声明
「今こそ、キリスト教の牧会的、預言者的、実践的な使命を果たそう」

 私たちの主イエス・キリストの父である神、あらゆる苦難に際して私たちを慰めてくださり、そのことによって私たちを、神から受けたその慰めをもってあらゆる苦難の中にある人々を慰める者としてくださる神がほめたたえられますように(Ⅱコリント1:3、4)。

 世界各地域のエキュメニカル組織と世界教会協議会(WCC)を代表し、新型コロナウイルス(COVID-19)による困難に見舞われている、全世界の、主にある共同体に連帯を表明します。

 私たちは、いかなる所においても、人々の状況に対して真摯に向き合い、どのような形であれ、いのちを守るために協働することを最優先するよう求めます。そして今こそ、神が愛をもってお創りになったいのちを守るために、私たちが、言葉と分かち合いと行動によって、また、為しえないことにおいてさえも、互いに心からつながり合うべき時です。

 しかしまさにその愛ゆえに、礼拝と交わりが、恵みの手段ではなくウイルスの感染源になってしまう危険を回避するために、今この感染症流行のただ中で必要とされることを念頭においた集会の形を採ることが重要かつ喫緊の課題です。

 いのちの神に対する私たちの信仰は、このウイルスを伝染させないためのあらゆる手段をとることによっていのちを守るよう、私たちを駆り立てています。安全かつ実際的な方法でいのちを守り、苦痛を和らげ、そして教会や公共サービスの場が決してウイルス感染の中心地になることがないよう十分に注意しながら、神の無条件の愛を具現化してゆこうではありませんか。

 身体的な距離を取ることは、霊的に孤立することを意味しません。今こそ、貧しい人々、病んでいる人々、片隅に追いやられた人々、そして高齢者など新型コロナウイルスによって最も危険にさらされている人々に仕えたり、何かを提供したり、あるいは気配りしたりする中で、世界中の教会が、社会における自らの役割を見つめ直す時です。

 最近、世界の多くの地域では外出さえできなくなっています。しかし、たとえ私たちが家に閉じこもることになっても、キリストのひとつのからだなる教会に結ばれる洗礼のゆえに、互いの間の深い霊的な連帯を経験することができます。

 家で祈ることができます。神に感謝をささげ、力や癒しや勇気を求めて祈ることもできます。さらに、公の礼拝に直接に集まらなくても、私たちは神と隣人への愛を示すことができるのです。多くの教会は、礼拝をオンライン中継したり動画で共有したりしています。電話を使って教会員と交信し、牧会的配慮を続けている牧師たちもいます。

 新型コロナウイルスの流行は、地球上のあらゆる地域に拡大しました。ウイルスそのものに対してもキリスト者としてどう応答すべきか、ということに関しても、恐怖やパニック、痛みや苦しみ、疑いや誤った情報があります。それでもなお、ひとつの信仰に結ばれたグローバルな共同体として確かめたいと思います。この、私たちの弱さの真っただ中で、私たちは神を信頼します。神こそが私たちの希望なのです。

 苦しみと悲劇の知らせばかりが目につきますが、その一方で、素朴な親切、献身的な愛、連帯、そして創造力に富むわくわくするような方法での希望と平和の共有にまつわるニュースも決して少なくありません。

 レントにおける私たちの巡礼の旅は、苦労と困難と誘惑の荒れ野を通って、死から復活へ、神と共にある新しいいのちへと至ります。この荒れ野は、新型コロナウイルスによって一層私たちに対して厳しく、恐ろしいものとなりました。しかし私たちは、心を合わせて連帯し、嘆く者と共に嘆き、不安を抱えた人々と平安を分かち合い、信仰における連帯を通して希望を取り戻すよう招かれています。

 パニックになって生活必需品の買い占めに走ってしまうと、私たちの連帯は崩壊し、不安が増大します。もし私たちがこのようなことをすれば、この時に、神の道具であることなどできないでしょう。

 国家や地域社会や宗教指導者による、責任あるリーダーシップが必要とされています。あらゆるレベルの行政的組織は、人々が、正しく、時宜にかなう情報が得られることを保証しなければなりません。また、生計の行き詰まりや失職に対処しなければなりません。とりわけ、清浄な水や消毒剤や石鹸、安全な居場所、最も弱い人々のための温かいケアが得られるようにしなければなりません。世界を見渡すならば、これらは、実に多くの人々にとって未だに入手困難なものなのです。今こそ、私たちは、共通善とは何であるか、善き政治とは何か、そして、各自の地域や共同体の伝統に根ざす倫理について熟考すべきです。

 この深刻な危機にあって、世界中のリーダーシップをとる人々や政府・行政機関が、貧しい人々に対して、また、私たちの間にいる周縁に追いやられた人々や難民に対して優先的な関心を向けることができるよう切に祈ります。

 また、ホームレス、収監されている人々、高齢者、そして社会的に孤立している人々のニーズにより大きな注意を払う必要性を、宗教指導者として特に強調したいと思います。私たちはまた、虐待や暴力を受けていて家に居ることが安全ではない人々、特に女性や子どもたちが、ストレスの増大の中でさらなる虐待や暴力にさらされる可能性について深く懸念しています。

 新型コロナウイルスに罹患している人々とその家族のために、また、患者の治療と社会の防衛のために、危険に身をさらしながら働いてくれている医療従事者のために、引き続き祈りましょう。また、公衆衛生に関わる働き手の皆さんのためにも祈りましょう。神の助けと私たちの協力によってウイルスの拡大を食い止め、社会と経済と環境を、最悪の結果から守ることができるように。

 神の愛はあらゆるものを包んでいます。いのちの神は、苦難の中にあってもなお、私たちと共にいます。

Rev. Dr Olav Fykse Tveit,
世界教会協議会(WCC)総幹事
Dr Souraya Bechealany,
中東教会協議会(MECC)総幹事
Rev. James Bhagwan,
太平洋教会協議会(PCC)総幹事
Dr Mathews George Chunakara,
アジアキリスト教協議会(CCA)総幹事
Gerard Granado,
カリブ諸国教会協議会(CCC)総幹事
Rev. Dr Fidon Mwombeki,
全アフリカ教会協議会(AACC)総幹事
Pastor Peter Noteboom,
カナダ教会協議会(CCC)総幹事
Dr. Jørgen Skov Sørensen,
ヨーロッパ教会協議会(CEC)総幹事
Jim Winkler,
米国キリスト教会協議会(NCC-USA)総幹事

2020年3月26日
(翻訳・村瀬義史=関西学院大学教員)

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