教皇、パンデミックによる試練に置かれた世界のために祈る 2020年6月1日

 バチカン・ニュース(日本語版)によると、カトリック教会が伝統的に聖母に捧げる月、5月の終了を前に、教皇フランシスコは30日夕、バチカン庭園の「ルルドの洞窟」前で、ロザリオの祈りを行った。中にある祭壇は、ルルドで聖ベルナデッタ・スビルーが聖母の出現を受けた場所に置かれた最初の祭壇で、1960年、タルブとルルド教区の司教から教皇ヨハネ23世に贈られた。

 教皇フランシスコによるロザリオの祈りは、世界各地の巡礼地とビデオ中継で結ばれ、これらの巡礼聖堂でも、バチカンの会場と一致し、祈りが唱えられた。バチカン庭園の「ルルドの洞窟」前の広場では、間隔を広く開けて置かれた椅子に座った参加者が、教皇と祈りを共にした。参加者の中には、新型コロナウイルスとの闘いにおいて第一線に立つ医師や看護師ら病院関係者、この感染症で亡くなった方の遺族、病院付きの司祭、薬剤師、またこのパンデミック危機の間に新しい命の誕生を体験した家族などの姿が見られた。

 教皇と参加者、また世界各地の巡礼聖堂の関係者は、ロザリオの「栄えの神秘」を観想しつつ、パンデミックが引き起こしたさまざまな状況に苦しむ人々のために、神に癒しと解放、救いを祈り求めた。教皇は「聖母月」において、パンデミックで家にいる信者たちにロザリオの祈りを推奨する書簡の中で、自分で特別に用意した祈りを紹介している。バチカン庭園でのロザリオの祈りを、教皇はこの祈りをもって締めくくった。

 ペンテコステ(聖霊降臨祭)に合わせて教皇は30日、新型コロナウイルスの感染拡大が収束した後の世界に「より公正な社会」を構築するよう求め、「貧困のパンデミック(世界的な大流行)を終わらせる」ための行動を人々に呼びかけた。AFP通信が報じた。

 発表されたスペイン語ビデオメッセージで、教皇は「このパンデミックを脱した時、私たちはこれまでしてきたことをこれまで通り続けることが不可能となる。そう、すべてが変わってしまう」と語った。また、人々が心を開き、今回の危機から「私たちは一つの人類」という重要な教訓を得る必要があるとして、これからは特に従来見捨てられてきた最貧困層のために新たな社会を築く義務があると続けた。そして「より公正でキリスト教的な精神を表す社会を、名ばかりではなく現実に力を合わせて築いていかなければ、この苦しみはすべて無価値となる」と述べた。(CJC)

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