【夕暮れに、なお光あり】 老人は夢を見る 吉本真理 2020年6月21日

 「夢」とは、一つには睡眠中あたかも現実の経験であるかのように感じる一連の観念や心像、睡眠中に持つ幻覚のこと。もう一つには、将来実現させたいと思っていること、願望、願いという意味がある。

 ほとんどの子どもは、幼少期の幼稚園や小学校時代に、あるいは中学、高校、そして大学時にあって、「将来の夢は何ですか?」と他者や教師たちから質問されたり、時には書かされたりするのではと思う。一般的には高齢者ともなると、「将来の夢は?」とは、まず聞かれることはない。ある意味で、それは少し寂しいことかもしれない。

 しかし、聖書には、「老人は夢を見る」とある。「その後/私は、すべての肉なる者にわが霊を注ぐ。/あなたがたの息子や娘は預言し/老人は夢を見、若者は幻を見る」(ヨエル3:1)。ヨエルは「聖霊の注ぎ」によって、老人には夢、若者には幻、息子、娘は預言をすると預言している。そして、この夢、幻、預言に共通する要素は神様の御心があいまいな形ではなく、明確に示され、それに従う民が多く起こされることだ。

 行き先短いであろう、夢を持ちにくい高齢者が「夢を見る」ということは素晴らしいことである。聖霊によって与えられる夢は、神様がお与えくださる恵みのビジョンであり、神を信頼する時にのみ見ることができるものであると思う。現代社会においては、高齢者は単純には、なかなか夢をもてないものである。社会福祉等の問題があり、老後の安定生活が難しい今日の現状。健康的にも、目は弱く、耳も遠くなり、体中のあちこちが次々と痛み、メンテナンスを必要としているのが私ばかりでないと思う。

 けれども、神様は「老人は夢を見る」と、約束してくださっている。過去の古い良き時代を夢見るのではなく、神様のみ心を悟り、神の示される大きな夢を共有させていただけるということだ。神様がすでに過去に、大いなることを恵み、豊かに与えてくださったことえを覚え感謝して、数えつつ、将来を明るく展望できるということだ。

 1963年、〝I have a Dream〟と高らかに宣言したマーティン・ルーサー・キング牧師の夢は、約50年後の2009年に初めての黒人大統領オバマ氏の当選により確かに現実に近づいた。

 神様は高齢者にも豊かな夢を与えられるばかりでなく、み心のままに夢を持ち続けることをもお支えくださり、さらには実現させてくださる。日本と世界の平和を願いつつ「イエスはキリストである」と伝え続けていくことを夢として、前進していきたいと願う。

 よしもと・まり 東京芸術大学卒業、ライプツィヒ音楽大学修了、東京神学大学大学院修了。ドイツ各地にてオルガン演奏会に出演。日本オルガン友の会(故 木岡英三郎主宰)より金メダル受賞。NHKFM放送出演、国内各教会、ビリーグラハム大会、首都圏伝道大会等においてもオルガン演奏会に出演。その他、アンサンブル、合唱団、東京都交響楽団、読売日本交響楽団とも共演。国際キリスト教団 代々木教会担任副牧師、オルガニスト。日本福音学校教会音楽科教師。

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