【東アジアのリアル】 2020朝鮮半島ヨベルの年 松山健作 2020年6月21日

 韓国基督教教会協議会(NCCK)と世界教会協議会(WCC)は、朝鮮戦争勃発70周年を迎える2020年を朝鮮半島分断の束縛から解放されるヨベルの年として宣布し、WCCが「朝鮮戦争の終息と朝鮮半島の平和定着」のために心を合わせて祈祷することを決議した。

 韓国教会とWCCは、3月1日(三一節)から8月15日(光復節)までを集中祈祷期間とし、70の平和祈祷、メッセージ、信仰の証などを通して、この祈祷運動を展開することにした。この祈祷運動には、全世界の信仰者が招かれている。

 特に3月1日からNCCKのホームページ(http://www.ncck.or.kr)、FacebookなどのSNSを通して、祈祷文が韓国語と英語で配信されている。NCCKは、すべての教会が、この祈祷運動を積極的に宣伝し、韓国教会のすべての教会と信徒に賛同することを呼びかけている。

 この祈祷運動を通して朝鮮半島における平和の必要性が全世界に認識され、東アジアの平和を実現するための働きとする必要がある。その最初の祈祷文は、3月末をもって10年の任期を終えられた前WCC総幹事オラフ・フィクセ=トゥベイト師が、最初の祈祷を担当している。

いのちの神よ、平和の神よ、正義の神よ!
私たちが共に、朝鮮半島の人々の上にお祈りしましょう。

南と北のすべての人々の上に、
青年と老人、
女性と男性、
力のある人々と力のない人々、
強い信仰を持っている人々と希望を失った人々、
平和を渇望し、喉乾くすべての人々のために祈ります。

平和のため、
新たな連帯と友情を贈物として与え、持続可能な平和のために、
心の平和と地の平和のために、
ゆえに南と北が、そして朝鮮半島の人々が
永遠の神の国の正義、望み、喜びの徴となるように
神よ、私たちに憐れみをお与えください。

 トゥベイト師の祈祷からも分かるように、朝鮮半島南北における平和が神の国の正義、望み、喜びの徴標であると捉えられていることは、非常に重要である。朝鮮半島における平和の実現は、最優先の宣教課題なのである。

 2番目、3月2日の祈祷は、NCCK総務李鴻政(イホンジョン)師が担当している。この祈祷の冒頭では、いのちと平和の神に対して、朝鮮半島が「分断と戦争と冷戦の傷が癒えないまま」である窮状が訴えられている。李師の祈祷をすべて紹介することはできないが、「イエス・キリストの十字架上での死が神の行われる救いの歴史の最後ではないように、分断が神がなさる民族の歴史の最後でないことを信じることができるように」という切実な南北間の平和を求める祈祷となっている。

 日本では、朝鮮半島南北の平和を求める報道が少ない。しかし、草の根の運動として展開されていることを覚えたい。私たち日本においては、まず朝鮮半島の南北の平和が東アジアにおける平和を実現する鍵であると認識することから歩むことができればと思う。

松山健作
 まつやま・けんさく 1985年、大阪生まれ。関西学院大学神学部卒業、同大学院博士前期課程、ウイリアムス神学館、韓国延世大学神学科博士課程修了。現在、日本聖公会京都教区聖光教会勤務、同幼稚園園長、『キリスト教文化』(かんよう出版)編集長、明治学院大学教養教育センター研究員など。専門は日韓キリスト教関係史。

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