首相の靖国神社玉串料奉納などにNCC靖国問題委が抗議 2020年8月25日

 8月15日、靖国神社に安倍晋三首相が玉串料を奉納し、4閣僚が参拝したことに対し、日本キリスト教協議会(NCC)靖国神社問題委員会(星出卓也委員長)は18日、抗議声明を発表した。声明では、これらの行為が憲法の政教分離原則に違反し、憲法尊重擁護義務を無視した行動であると指摘。アジア諸国への侵略を美化した歴史観を表明する靖国神社へ首相や閣僚が参拝等を行うことは、アジアの人々を傷つけ、互いの良好な関係を損なわせるものだと訴えた。

 また、政教分離の侵害を監視する全国会議(木村庸五、古賀正義代表幹事)も24日、抗議の声明を発表し、閣僚による同神社の参拝は「日本国憲法20条3項の政教分離原則違反であり、憲法尊重擁護義務を無視した行動」「アジア太平洋戦争におけるアジア諸国への侵略加害行為を反省せず、日本のアジア諸国への謝罪を破棄するようなメッセージを発信し、日本政府への信頼関係を損ない、北東アジアの緊張を高める深刻な事態を生むもの」と指摘。

 参拝した閣僚らの発言についても「被害者の痛みを全く理解しようともしない傲慢な態度」「加害の歴史を忘却し、あたかも何の問題もなかったかのようにしようとする独善的な発言」と非難した。

 全文は以下の通り。


8月15日の首相の靖国神社玉串料奉納、閣僚の参拝に抗議します

内閣総理大臣 安倍晋三殿
総務大臣 高市早苗殿、
文部科学大臣 萩生田光一殿、
環境大臣 小泉進次郎殿、
沖縄北方担当大臣 衛藤晟一殿
経済再生担当大臣 西村康稔殿

 私共「政教分離の侵害を監視する全国会議」は、首相が靖国神社に玉串料や真榊等を奉納することに対して、及び閣僚の参拝に対して抗議を続け、今年の7月21日にも8月15日の敗戦記念日に玉串料の奉納を行わないよう要請を致しました。それにもかかわらず今年の8月15日に、安倍首相は玉串料を奉納し、高市早苗総務相、萩生田光一文部科学相、小泉進次郎環境相、衛藤晟一沖縄北方担当相、16日に西村康稔経済再生担当相の、合計五閣僚が同神社への参拝を行いました。

 首相の靖国神社への玉串料奉納、五閣僚の同神社の参拝は、日本国憲法20条3項の政教分離原則違反であり、憲法尊重擁護義務を無視した行動です。8月15日敗戦記念日における首相の同神社玉串料奉納は、第二次安倍政権発足以来8年連続であり、また敗戦記念日における閣僚の靖国参拝は2016年以降途絶えていたものの、今年は第二次安倍政権発足以来最多の五閣僚もが参拝しました。

 戦後75年を迎えるこの年に、首相や閣僚らが、かつては国の機関として軍国主義の支柱となり、今も尚その侵略を美化した歴史観を表明している靖国神社へ奉納や参拝を繰り返したことは、アジア太平洋戦争におけるアジア諸国への侵略加害行為を反省せず、日本のアジア諸国への謝罪を破棄するようなメッセージを発信し、日本政府への信頼関係を損ない、北東アジアの緊張を高める深刻な事態を生むものです。韓国や中国から、参拝等に抗議する声が今回も寄せられています。

 参拝した閣僚らの「中国や韓国から言われることではない。」(衛藤晟一沖縄北方担当相)、「決して外交問題にしてはいけないし、外交問題ではありえない。」(高市早苗総務相)という発言は、相手を傷つけながら、それを問題にする方がおかしい、と語るようなもので、被害者の痛みを全く理解しようともしない傲慢な態度です。「(参拝を)行ったことがニュースになること自体がなくなる時代にしなければならない。」(小泉進次郎環境相)、「そういう(報道機関の)質問の方が異常だ。」(衛藤晟一担当相)と開き直るように語ったことは、加害の歴史を忘却し、あたかも何の問題もなかったかのようにしようとする独善的な発言で、決して許されるものではありません。「日本人として素直な気持ちで参拝をさせて頂いた」(16日、西村康稔経済担当相)の発言は、素直な気持ちで反対の意を表明する日本の市民の存在を認めず、これが日本人の当然の感覚であると断定する一方的な発言です。

 首相及び閣僚は、戦後75年の年に、侵略加害の歴史の反省に立ち、憲法尊重擁護義務を負う立場として政教分離原則を厳格に遵守し、以後、同神社への参拝及び奉納等を止めるようここに厳重に抗議します。

2020年8月24日

政教分離の侵害を監視する全国会議
代表幹事 木村庸五、古賀正義
事務局長 星出卓也

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