バプ連靖国問題委が見解表明 コロナ状況下の天皇制の問題指摘 2020年9月1日

 日本バプテスト連盟靖国神社問題特別委員会は8月15日、「敗戦後75年を迎えて~コロナ状況下の『ヤスクニ』・天皇制(教)問題に対する見解~」を発表した。

 同見解では、コロナ問題に関して各界の「専門家・第一人者」による「ご進講」が続いていることを看過できないと指摘。それぞれの課題にねぎらいや理解を示す天皇の言葉は、「結果的に政権の無策等を覆い隠し、人々の気持ちをなだめすかす等の役割を担うことに繋がる」「政権等の巧みな宗教(天皇教)利用」だと述べた。

 その上で、1982年の同連盟第36回総会で決議した「靖国神社問題に対する日本バプテスト連盟の信仰的立場」(反ヤスクニ宣言)、同委員会が2017年に発行したパンフレット『私たちに何の関係が…天皇代替わりを前にして』、2018年の「日本バプテスト連盟結成70年声明」に言及し、「私たちを様々な方法で絡めとろうとしてくる天皇制(教)の深淵(闇)について、さらに学びを深めつつ……『信教の自由を守り、主の平和をつくり出す』働きとして、天皇制に対峙しつつ、『ヤスクニ問題』に取り組んでいきたい」と表明した。

 全文は以下の通り。


敗戦後75年を迎えて~コロナ状況下の「ヤスクニ」・天皇制(教)問題に対する見解~

2020年8月15日
日本バプテスト連盟
靖国神社問題特別委員会

 当委員会は今年度計画で「天皇代替わり儀式として強行された 2019/10/22『即位礼正殿の儀』、11/14-15『大嘗祭』は政教分離・信教の自由を侵すものである。引き続き『立皇嗣の礼』や皇室慶弔行事等含め、天皇制強化キャンペーンが続く」ことを危惧し、それらの動きに対応していく予定でした。

 現在、コロナ問題に関して各界(医療・福祉・経済…)から、その分野の「専門家・第一人者」と認められた者による「ご進講」が続いていることも、天皇制強化キャンペーンの一環で、危惧していることが現実化していると言え、看過することができません。

 また、「ご進講」によって、それぞれの課題に労(ねぎら)いや理解を示す天皇の言葉は、前天皇の被災地訪問等同様、結果的に政権の無策等を覆い隠し、人々の気持ちをなだめすかす等の役割を担うことに繋がるでしょう。政権等の巧みな宗教(天皇教)利用です。

 そもそもご進講とは「天皇・皇后・皇族に学者等が業績などをご説明申し上げること」(宮内庁用語集)、「貴人に対しその前で講義をすること」(広辞苑)、「天皇や身分の高い人に学問を講義すること」(大辞林)であり、「天皇・貴人・身分の高い人」の存在が前提にされ、それ故、その対極に差別され、小さくされている人々の存在をも前提にした行為です。

 私たち日本バプテスト連盟は第 36 回総会(1982)で「靖国神社問題に対する日本バプテスト連盟の信仰的立場」(反ヤスクニ宣言)を決議し、「今日、わたしたちは聖書の神に聴き従うよりも、この世に多く聴こうとする誘惑にさらされている。わたしたちは福音によって立とうとせず、安価な幸福主義を宣教しようとしてはいないだろうか。かつて、天皇制イデオロギーと国家神道がもつ悪霊的性格を批判しえず、『八紘一宇』の名のもとに、アジア侵略、差別と抑圧、戦争等をひきおこしていった悪魔的諸力の前に沈黙し迎合していった教会の痛みを、わたしたちは今日どれだけ、教会の体質として克服しえているだろうか。さらにわたしたちの教会をとりまく今日の状況は、政治の宗教利用、教育の右傾化、軍備の増強などにみられるように、かつての危険な状況と酷似していると言わねばならない。(中略)靖国神社国家護持をはかる諸勢力が、日本の政治的風土において、習俗・慣習の名のもとに、政教分離の原則を侵し、国家の宗教化と天皇神格化」復古への道を開こうとしていることは看過できないと表明しました。

 当委員会は、この宣言等に基づき活動し、信仰告白的行為として、靖国神社が戦争美化と死者利用の施設であること、天皇を中心とした徹底した差別構造と抑圧のシステムが私たちの信仰とは相容れないばかりか、自由と民主主義に対する否定であることを、多くの声明や抗議文に反映させて発表してきました。

 当委員会発行パンフレット『私たちに何の関係が…天皇代替わりを前にして』(2017)で私たちは、その中の問2「天皇は被災地などを巡って、良い人なのに、何が問題なの?」に対しては、「…優しく、いい人、おだやかで、共感的な人。そうしたイメージが、これらの行為を行う天皇の姿から形作られていきます。そしてその姿には被災者や戦没者遺族、また戦争の犠牲者などの気持ちをやわらげ、なだめる効果が期待されていると思います。ここにこそ問題があるのです。例えば東日本大震災と共に始まった原発事故は、終息のめどさえ立たず、深刻さを増しています。それを招いた責任を負っているはずの国や東電はそれを十分に負わず、被害への対処も全く不十分なままです。しかし、天皇が被災地を訪問して人々を慰める時、こうした責任の所在は曖昧になり、本当は声を挙げなければならない人々が懐柔されてしまうのです」、また問 3「イエスを信じる私たちと天皇制、どんな矛盾があるの?」に対しては、「…天皇制の基本にあるものは、『国家神道』の本質である『皇室神道』の祭儀そのものであり、天皇の日常的な行為は最高位の神職としての行為なのです。これは政教分離の規定に真っ向から対立するものです。(中略)天皇制は、神の前に平等な者として作られた信仰者の生き方から言えば矛盾する制度」と回答しています。

 「日本バプテスト連盟結成 70 年声明」(2018)は、戦後日本の独立は「天皇制を残し、米軍の基地の島として沖縄を切り捨て、日米安保条約を結び、冷戦構造の中で役割を果たすことで享受した一面的な『平和』だった。(中略)沖縄の基地化と朝鮮半島の南北分断と天皇制と民族差別は、日本の偽りの『平和』の背後でつながっている。(中略)私たちは、近代日本が天皇制を頂点にして作り出した民衆統合の体制や、天皇・皇室への近親度から生まれる優劣の意識や差別のことを、きちんと批判できただろうか」と指摘しています。

 当委員会は、私たちを様々な方法で絡めとろうとしてくる天皇制(教)の深淵(闇)について、さらに学びを深めつつ、今後も、十字架と復活の主に従い、「信教の自由を守り、主の平和をつくり出す」働きとして、天皇制に対峙しつつ、「ヤスクニ問題」に取り組んでいきたいと思います。

 「光は闇の中に輝いている。そして、闇はこれに勝たなかった」(ヨハネ1:5)

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