「緊急事態宣言」受け各教派が対応表明 ホーリネス教団、聖公会、カトリック東京教区 2021年1月11日

 新型コロナウイルス感染拡大の第3波に伴い、2020年4月以来2度目となる「緊急事態宣言」(1都3県が対象)の発出を受けて、各教派が対応を表明した。

 日本ホーリネス教団(島津吉成委員長)は「宣言」に先立つ1月6日、「第16報」となる「新型コロナウイルス感染症への対応に関して」の通知を発表。感染状況の地域差や諸教会の状況を踏まえ、教団として一律に指示を出すようなことはせず、これまで同様、「それぞれの教会で取り得る対策を考えていただきたい」と呼び掛け、「教会の諸集会が緊急事態宣言による協力要請の対象に該当するか否かによって対策を考えるのではなく、教会における集会の場合、一定の時間、多人数が一つの場所に留まり、さらに賛美や説教などによる発声が伴」うため、教会内での感染を抑える「自主的な対策を講じる必要」があると指摘している。

 日本聖公会東京教区のフランシスコ・ザビエル高橋宏幸(たかはし・ひろゆき)主教は7日、「緊急事態宣言再度発令の中にあって」と題する主教教書を発表。同教区では、「いのちを守り合うこと」「教会の社会的責任を果たすこと」という2本の柱に即し、新型コロナウイルス対策に取り組んできた。すでに12月27日(降誕後第一主日)より、東京都のコロナウイルス感染症の更なる深刻化を鑑み、会衆参加の礼拝・公祷休止が継続されている。政府の緊急事態宣言を受けて出された教書の中では、これまで同様に注意し、一層の冷静さと落ち着いた生活を送るよう呼び掛けている。

 礼拝以外の会合・集会については、感染防止対策の上、必要な場合のみ集まって行い、所属する教会・礼拝堂以外の礼拝などに参加する時は、事前に参加希望の教会・礼拝堂に連絡し、許可が必要となる。葬儀および礼拝堂の公開などは、感染防止の対策の上、それぞれの教会・礼拝堂の状況にあわせて実施は可能となっている。インターネットによる礼拝などの配信を視聴することもできる。

 カトリック東京大司教区(菊地功大司教)は同日、「日本政府の緊急事態宣言再発出を受けて」と題する文書を発表した。それによると、現時点で信徒の中に感染したり亡くなったりした人が少なからずいるものの、教会活動を起源とした感染は報告されていないという。今回の緊急事態宣言で、集会などの禁止は盛り込まれていないが、感染対策の徹底が求められているため、小教区におけるこれまでの感染対策を改めて見直し、徹底するよう要請している。

 昨年12月1日付で発表した文書「新型コロナウイルス感染拡大下の待降節」における対応を基本としつつ、年齢制限はしないものの、「75歳以上の方や基礎疾患をお持ちの方にあっては、できる限りご自宅でお祈りください。主日のミサの義務については、東京教区のすべての方を対象に、当分の間免除いたします」「(不安や困難を感じながら奉仕する)信徒の方々の事情を勘案して、感染対策に対応するための奉仕者を充分に確保できない場合は、公開ミサを中止にしてください」としている。

 また「霊的聖体拝領」の一助として、毎土曜18時、大司教の主日メッセージを「週刊大司教」と題して配信。麹町教会をはじめいくつかの教会による主日ミサのネット配信を活用するよう勧めている。

 「緊急事態宣言」を受けての主な変更点は、「ミサ中に充分な換気ができない場合も、聖堂を典礼に使うことはできない」「ミサ後、聖堂内や周辺での『あいさつ』『立ち話』もできる限り避ける」「祈りを一緒に声を出して唱えることを控える(オルガン独奏や、マイクを利用しての独唱、広い空間があり換気ができる場合に、ごく少数の聖歌隊による歌唱は可能)」「聖体拝領は、必ず拝領の直前に消毒した手で受ける」など。

 各コメントの全文は以下の通り。


【第16報】新型コロナウイルス感染症への対応に関して

 主の聖なる御名をたたえます。

 新しい年を迎えましたが、新型コロナウイルスの感染拡大は続き、明日7日にも東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県に対して緊急事態宣言が政府より発令されようとしています。この報道を受けて、対象地域にある諸教会におかれましては、どのような対応を取るべきかを検討しておられることと思います。その感染状況は地域差があり、また諸教会の状況(会堂の広さや設備、集まる人数等)が異なりますので、教団としましては、一律に指示を出すようなことはせず、これまでと同様、それぞれの教会で取り得る対策を考えていただきたいと思います。

 留意していただくべき一つのことは、政府による緊急事態宣言の対象地域であるかどうかによって対応を変えるというのではなく、感染レベルに合わせて対応を変えていただく必要がある、ということです。それぞれの地域の感染状況を判断する指標につきましては、前回の【第15報】でお伝えしましたように、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会による「4つのステージと6指標」を判断の基準にしていただくのがよいと思います。それによりますと、

ステージ1(感染者の散発的発生)
ステージ2(感染者の漸増)
ステージ3(感染者の急増)
ステージ4(爆発的な感染拡大)
<参照> https://hazard.yahoo.co.jp/article/20200813

となっています。特に、より厳しい対策が必要となるのはステージ3、あるいはステージ4に至った地域です。ステージ3は「直近1週間の人口10万人あたりの感染者数」が15人以上、ステージ4は25人以上とされています。この指標によりますと(1/5時点)、ステージ4の地域は(多い順に)東京、神奈川、栃木、京都、ステージ3は埼玉、千葉、大阪、岐阜、福岡、愛知、沖縄、兵庫、広島、宮崎、奈良、長崎となっています。最新データは次のサイトで確認できます。https://web.sapmed.ac.jp/canmol/coronavirus/japan.html?s=y&y=0(このデータは人口100万人あたりの数値となっています)

 もう一点、教会の諸集会が緊急事態宣言による協力要請の対象に該当するか否かによって対策を考えるのではなく、教会における集会の場合、一定の時間、多人数が一つの場所に留まり、さらに賛美や説教などによる発声が伴いますので、対象外の映画館等よりもリスクの高いイベントとなります。そこで、教会内での感染を抑えるために、自主的な対策を講じる必要があります。

 感染が拡大している地域(ステージ3あるいは4)では、無症状感染者が集会に出席しているという前提で、それでも他の方に感染しないようにより厳しい対策が必要となります。基本的な対策につきましては、【第14報】(2020年9月4日付)に詳しく記載しておりますので、そちらを参考にしてください。その上で、改めてお願いしたいことは、<三密の回避>の徹底です。

①密閉の回避(換気の徹底)

・教会では、現在飲食は行われていないと思いますので、現時点で最も重要な対策は換気を徹底することです。最も望ましいのは、2方向の窓(あるいはドア)を開けておくことです。

 実際、ある教会では潜伏期間にあった感染者が礼拝に出席しておられましたが、常時換気を行っていたこともあり、他の会員への感染は免れたという報告を受けています。

・寒冷地域にある教会、あるいは隣家との距離が近い教会の場合、集会中に常時窓を開けておくことは難しいことでしょう。その場合も、30分に1回程度、5分間ほど対角線の窓を全開して空気を入れ換えるようにしてください。このとき、扇風機等を使用するとより効果的だと言われています。

・十分な換気が行われているかどうかを確認するために、市販されている二酸化酸素濃度を測定する機器を用いる方法もメディア等で紹介されていますので、参考にしてください。

②密集・密接の回避(身体的距離の確保)

・厚生労働省が提示した「新しい生活様式」では、人との距離をできるだけ2m(最低1m)空けるように推奨しています。ステージ3あるいは4の地域では、隣りの人との距離を確保できるように座席の位置をもう一度見直し、1回の集会に集まることができる人数の上限をこれまでよりも少なくする対応が必要となります。このため、礼拝の回数を増やす、あるいはオンラインでの礼拝に振り分ける、などの対応をどうぞご検討ください。

・会堂の広さなどから、どうしても十分な距離を確保できない場合は、賛美を控え、常時換気を行うなど、他の対策で感染リスクを下げることをお考えください。

③マスクの着用

・マスクの着用はすでに徹底されていることと思いますが、教会によっては司式者や説教者はマスクを外して話すケースがあるかもしれません。これにつきましても、ステージ3あるいは4の地域では、常時マスク着用での奉仕が望ましいと考えられますので、再考をお願いいたします。

 これらの感染予防対策につきまして、文部科学省が小中学校に向けて出しました「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」を参考資料として添付いたします。この資料の33ページから43ページに「集団感染のリスクへの対応」という項目がありますので、どうぞ参考になさってください。

 なお、具体的な対応について判断に迷い、相談を必要とする場合は、総務局長・佐藤信人(022-234-5385、sendainankou@ybb.ne.jp)までお問い合わせください。

 寒さが最も厳しい季節を迎え、感染状況のさらなる悪化が懸念される中、牧師をはじめとする諸教会の上に、主の限りない憐れみと助けがあることを切にお祈りいたします。また、懸命な対応が続く医療従事者や保健所等の多くの方々の働きが支えられますように。

 この年も、皆さまの教会の上に、主の守りと祝福が豊かにありますようお祈りいたします。

 「その地は、あなたの神、主が顧みられる所で、年の始めから年の終りまで、あなたの神、主の目が常にその上にある。」(申命記11章12節/口語訳)

主にありて


緊急事態宣言再度発令の中にあって

主教 フランシスコ・ザビエル 髙橋 宏幸

 東京都のコロナウイルス感染症の更なる深刻化を鑑み、「いのちを守り合うこと」「教会の社会的責任を果たすこと」の当初からの二本柱に則し、12月27日(降誕後第一主日)以降、会衆参加の礼拝・公祷休止が継続されております。

 その中、本日1月7日、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県に「緊急事態宣言」再発令が決定されました。また、専門家からは「感染爆発」という発言もなされています。期間は一ヶ月程とされておりますが、今後の確かなことは不明な折でもあります。これらを受け、これまでにも注意に注意を重ねてこられた中、一層の冷静さと落ち着いた生活をお祈り申し上げますとともにお願い申し上げます。

 会衆が集えずとも、教役者は教会、礼拝堂を代表し礼拝と祈りを各教会、礼拝堂で守っております。このことはキリストの教会と全世界のための祈り、信仰の業でもあります。決して、教区内の全教会、礼拝堂から一切の礼拝や祈りが消えたわけではありません。

 今後も祈祷書中の諸礼拝、祈りなどを用いて、神様との交わりの時を持たれることをお勧め致します。自宅で祈られることも、命を守り合うことに通じる大切なことです。

 種々の方法による信徒の方がたへのケアと祈りなど、教役者各々の賜物を活かした形での聖務遂行を切にお願い致します。

 今後も引き続き、教会運営に支障のない限り、種々の会合は自粛を要請致します。

 私たちは異なった場所で祈りを捧げるとしても、その祈りは教会共同体の祈りとなり、祈りの輪、連帯を形作り、主イエス・キリストと父なる神様との交わりに重ね合わされ、聖なる捧げものとされます。引き続き、主日正午、お昼時の忙しい時間ですが心と言葉を合わせて、主イエス・キリストが授けてくださった「主の祈り」をそれぞれが居られる場所で、捧げ合いたいと思います。私自身も祈ります。皆さまもご一緒にお祈りください。他の方々にも祈りに加わってくださるよう、お知らせとお勧めをお願い申し上げます。

 「当たり前」と思ってきたことが実は当たり前ではない中、めまぐるしい技術革新なども相まって、さらにスピードアップしている社会・経済の変化の中で「いったん立ち止まる」ことも通して、見逃してきたこと、聞き逃してきたこと、忘れていたことなどを見直し、考え直す機会ともしたいと思います。

 困窮する方がた、また多大な負担を余儀なくされている方がたが優先され、最善の措置が図られることも祈りに加えたいと思います。そして、より良い行動に努めたいと願います。

 罹患された方がたの回復、医療現場に於いて命がけで献身、尽力しておられる方がた、エッセンシャルワーカー、社会福祉施設、高齢者施設、幼稚園、保育園等のお働きと、そこで献身していらっしゃる方がたのお働き、生活上の不安、困難を余儀なくされている方がたへの支え、ご逝去された方がたの魂の平安と悲しみの内にある方がたへの慰め、そしてこの危機の収束を切にお祈り致しましょう。

 また、罹患された方がたへの偏見や差別に陥らぬよう併せて祈ります。

 「見よ、闇は地を覆い、暗黒が国々を包んでいる。しかし、あなたの上には主が輝き出で、主の栄光があなたの上に現れる」 (イザヤ書第 60 章 2 節)


日本政府の緊急事態宣言再発出を受けて

カトリック東京大司教区 大司教
菊地 功

 新型コロナウイルス感染症の新たな拡大を受けて、1月7日、政府から二回目となる緊急事態宣言が、地域を限定して発出されました。東京都と千葉県は、その対象地域の中に入っており、期限は一ヶ月と報道されています。

 昨年の1月30日以降、東京大司教区では「感染しない、感染させない」ことを念頭に、自分の身を守るだけではなく他の方々への十分な配慮をもってお互いのいのちを守るために、感染症の拡大に対応しながらさまざまな感染対策を実施してまいりました。現時点においては、信徒の方々に感染されたり亡くなられた方が少なからずおられるとの報告は受けていますが、教会活動を起源とした感染は報告されていません。

 とはいえ、どのような形で感染が拡大するのかは、未だに解明されてはいませんので、細心の注意を持って行動することは当然です。今回の緊急事態宣言では、集会などの禁止は盛り込まれていませんが、感染対策の徹底が求められていますので、小教区におけるこれまでの感染対策をあらためて見直し、徹底するようにお願いいたします。

 基本的には昨年12月1日付で発表した文書「新型コロナウイルス感染拡大下の待降節」における対応から大きく変更はいたしませんが、以下に記すように若干の確認と変更をさせていただきます。

1:聖堂内で、前後左右に最低でも1メートルの距離を保つことが出来ない場合、公開ミサを行うことは出来ません。また、ミサ中に充分な換気が出来ない場合も、公開ミサを行うことは出来ません。

2:ミサ後などに聖堂から退出する際、「密」とならないように、順序よく退堂したり、あいさつや立ち話を避けるなどの対応をお願いします。

3:ミサに参加されている際には、聖歌の歌唱など声を出すことを極力自粛されてください。また会衆や奉仕者、司式者、聖歌隊にあっても、マスクの着用を徹底してください。加えて聖歌隊奉仕がある場合はマイクを活用するなどして、できる限り少人数で、離れて歌唱するように工夫されてください。

4:聖体拝領の直前に、拝領する方々の手指を、必ず消毒してください。

5:年齢制限には困難があるため、あらためての年齢制限はいたしませんが、75歳以上の方や基礎疾患をお持ちの方にあっては、できる限りご自宅でお祈りください。主日のミサの義務については、東京教区のすべての方を対象に、当分の間免除いたします。

6:それぞれの小教区の実状には大きな相違がありますので判断は主任司祭に委任しますが、ミサにおける受付や登録、消毒作業などで、多くの信徒の方が奉仕してくださっています。中には大きな不安を抱えておられたり、またご家族に高齢の方や基礎疾患をお持ちの方があるなど、困難を感じながら奉仕してくださる方もおいでだと思います。そういった信徒の方々の事情を勘案して、感染対策に対応するための奉仕者を充分に確保できない場合は、公開ミサを中止にしてください。

 再びこのような緊急事態宣言という状況になり、集まることがさらに難しくなりつつあります。聖体祭儀において共に集い、歌い、祈ることがわたしたちの信仰生活においては重要なのはいうまでもありません。同時に、自分だけではなく、神から与えられた命を生きるすべての人を守ることも、わたしたちにとって重要な責務です。

 困難のさなかにあっても、主イエスの「世の終わりまで共にいる」との約束に信頼し、主を中心とした一つの体における霊的な絆を再確認いたしましょう。

 なお、「霊的聖体拝領」の一助として、毎土曜18時に、大司教の主日メッセージを「週刊大司教」と題して、インターネット配信しております。ご活用ください。また麹町教会をはじめいくつかの教会で、主日ミサをネット配信されていますから、これもまたご活用ください。

以上

現在の東京教区における感染症への対応の詳細はこちらのページをご覧ください。

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