WCRP新春学習会で奥田知志氏 「一緒にいる」ことが救済 2021年2月11日

 世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会が主催する新春学習会「Withコロナを生きぬく慈しみの実践」が1月25日、オンラインで開催された。約200人が参加し、新型コロナウイルスの蔓延(まんえん)によってさらに深刻な問題を抱えることになった社会の中で、宗教者たちに求められている行動とは何かを学んだ。

 創設50周年を記念するシンポジウムでは、共同通信論説委員の太田昌克氏、NPO法人抱樸理事長の奥田知志氏の2人が基調発題。その後行われたパネルディスカッションでは、日越ともいき支援会代表の吉水慈豊氏、公益社団法人日本キリスト教海外医療協力会タンザニア派遣ワーカー・助産師の雨宮春子氏がパネリストとして参加した。

 「コロナ禍における宗教者の実践」とのテーマで語った奥田氏は、コロナ禍で自殺者が急増する中、感染による重篤化を止めるのは医師など特別な資格が必要だが、ウイルスの影響を含めた自殺者に対しては、誰でも一助になれると話す。

 「イエス・キリストが生まれた時に最初に語られたのは、奇跡的な救済でも、十字架の罪の贖いでもなく、『インヌマエル=神我らと共にいます』だった。聖書は『一緒にいる』ということが救済だと言っているのではないか」とした上で、このことを証し、この世の中に示していくことが、教会の役割であり、本気で自殺を止めることにつながるのではないかと訴えた。

 パネルディスカッションに登壇した雨宮氏は、医療支援として携わった施設の実態について報告。派遣先のタンザニア・タボラ州で、栄養失調児のケアや、妊婦などに栄養指導など活動を進める中、昨年4月、新型コロナウイルス感染拡大により日本外務省からアフリカ在住者の避難勧告が出て、日本へ緊急帰国することになる。その後、クラスターが発生した100人余が入所する札幌市の介護老人保健施設で、看護師が不足していることを知り、すぐに看護師として緊急支援に入った。ちょうど北海道が新型コロナの第二波に見舞われていた時期。「看護も介護も崩壊している状態だった。医療機器や、医療従事者が整っていない状況で、新型コロナの重症者を看護しなければならない状態は、まるでタボラ州と同じではないか、ここは本当に日本なのだろうか。それが支援に入った初日の印象だった」と雨宮氏。

 10日の間、介護士と協力しながら看護し、10人の人を看取ることになった時のことをこう振り返る。「介護職の中には、自分が帰ることで、家族が周囲からから差別を受けてしまうからと、数日間車の中で生活されていた人もいる。施設内に取り残された人は、職員も、入所者も絶望的な表情をしていた。私にできることは、入所者の手を握り、私は一緒にいます、という気持ちを伝えることだけだった」

 雨宮さんは、昨年11~12月にもクラスターが発生した特別養護老人ホームで看護師として従事。 現在 はタボラ州への再赴任に向けて準備中だという。

 

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