教皇、イラク訪問を前にビデオメッセージであいさつ 2021年3月5日

 教皇フランシスコは、3月5日からのイラク訪問を前に4日、同国の人々にビデオを通しあいさつを送った。公設バチカン・ニュースの報道により、メッセージの要旨を紹介する。


 間もなく、やっと念願がかない、私は皆さんとご一緒することができるでしょう。皆さんとお会いし、さまざまな顔を見つめ、古いたぐいまれな文明のゆりかごである皆さんのお国を訪れることを、私は強く望んでいました。

 何年もの戦争とテロリズムの後、赦しと和解を主に祈り求めるため、心のなぐさめと傷のいやしを神に願うために、私は悔悛の巡礼者としてまいります。平和の巡礼者として訪れ、「あなたがたは皆兄弟です」と繰り返すために。

 そうです、平和の巡礼者として、兄弟愛の追求のもとに、皆さんのもとを訪れたいと思います。イスラム教徒、ユダヤ教徒、キリスト教徒を、ただ一つの家族として一致させる、父祖アブラハムのしるしのうちに、共に祈り、歩みたいという望みに動かされてまいります。

 親愛なるキリスト教徒の皆さん、非常につらい試練の中でイエスにおける信仰を証ししたあなたがたに、お会いするのを待ちきれない思いです。

 殉教者としての一つの教会との出会いを光栄に思います。皆さんの証しに感謝します。あなたがたが目にした多すぎるほどの殉教者たちの存在は、私たちが愛の謙遜な力をもって耐えることを助けてくれます。

 私は皆さんに全教会の愛情あふれる思いをお伝えしたいと思います。全教会は、あなたがたと傷つき苦しむ中東に心を寄せ、皆さんが前に進めるようにと応援しています。

 親愛なる兄弟姉妹の皆さん、私はここ数年、皆さんのことを思い続けていました。皆さんは大きな苦しみの中にも、完全に打ちのめされることはありませんでした。

 ニネベからは、ヨナの預言が響いてきます。それはニネベの都の滅びを防ぎ、新しい希望、神の希望をもたらしました。

 パンデミックによるこの困難な時代、兄弟愛を強めるべく助け合い、平和な未来を共に築きましょう。すべての宗教の兄弟姉妹たちと皆で力を合わせましょう。

 数千年前、皆さんの地でアブラハムは歩み始めました。今は、私たちが、同じ精神をもって、平和の道を共に歩み続ける時です。

 そのためにすべての皆さんに、いと高き神の平和と祝福を祈ります。皆さん、どうか私の訪問を祈りと共に見守ってください。ありがとうございました。

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