緊迫するミャンマー情勢 WCRPが特別セミナー 2021年4月21日

 ミャンマー軍の弾圧が激化し、多くの尊い命が犠牲になっているという現実を受け、ミャンマー特別セミナー「ミャンマー国民の叫び――政治・宗教・国際社会の役割」(世界宗教者平和会議=WCRP=トラスティーズ・日本会議、アジア宗教者平和会議主催)が4月10日、オンラインで開催された。約500人が視聴した。

 「ミャンマー近現代史から見たクーデターの背景」と題して基調講演を行った根本敬氏(上智大学総合グローバル学部教授)は、軍の政治DNAには、「政治に関与する軍」「国家を正しい方向に導く軍」「議会制民主主義に不信感を持つ軍」があり、これらは1962年、88年のクーデターから存在し、今回のクーデターにも引き継がれていると解説。

 軍は、不服従運動(CDM)の広がりと与党NLD(国民民主連盟)による連邦議会代表者委員会(CRPH)および臨時政府の設立に対して武力行使も辞さず、4月7日時点で590人以上の死者が出ている。このようなミャンマーの現状に対して、国際社会はそれぞれの国家事情により一致できない状態にあるという。そのため、国連安保理の議長声明も抑制的にならざるを得ない。

 根本氏は日本に対し、「G7の一員としての自覚を持ち、中国ファクターを『逃げ口上』にせず、対応を強めるべき」と進言。「ミャンマー国民が日本に対して抱く親近感を悪化させたら、未来の両国関係にヒビが入る」と警告した。

 グローバル化した世界では市民同士の連携を深めることが大切だと力を込め、具体的な支援方法として、SNSを使っての情報発信の拡散や、クラウドファンディングによるミャンマー国民の生活支援、宗教界によるミャンマーの平和と人権のための祈りと連帯などを挙げ、国家を超えた市民による動きに期待を寄せた。

 続くパネルディスカッションでは、在日ミャンマー人女性、衆議院議員で日本・ミャンマー友好議員連盟会長の逢沢一郎氏、世界宗教者平和会議国際副事務総長の杉野恭一氏の3人がパネリストとして参加。ミャンマーの緊迫する情勢に対して、政治、宗教、国際社会に何ができるのか、それぞれの立場から発言した。

 在日ミャンマー人の女性は、クーデターから2カ月半、恐怖とやるせない気持ちで毎日を過ごしているミャンマー国民の心の叫びを代弁。15歳未満の子どもも含む25歳未満の多くの若者が犠牲になっていることや、負傷者を乗せた救急車に発砲したり、デモに参加して亡くなった人の墓を壊したり、軍の非人道的な行為を次々と明らかにした。この女性はヤンゴン出身で、ミャンマーの中心をなすビルマ民族。軍の独裁政治の時代に育ち、「軍こそがすべて」という教育を受けてきた。しかし、来日して視野が広がるにつれ、ミャンマーの少数民族たちが長年苦しめられてきたことを知るようになったという。さらに今回のクーデターを通して、虐げられてきた少数民族の辛い思いを知り、本当に申し訳ないと思っていると胸の内を語った。(クリスチャンプレス・坂本直子)

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