【3・11特集】それぞれの10年 支援の意味問い続けて 佐々木 歩 2021年5月1日

 未曽有の大災害から10年。自ら被災を体験しながら、地元の支援活動に尽力し、「クラッシュジャパン」のスタッフとして奔走した。牧師になった今、当時から抱き続ける葛藤に改めて向き合う。

10年前の葛藤は今も

佐々木 歩(恵泉キリスト教会会津チャペル牧師、「クラッシュジャパン」元スタッフ)

 私は宮城県仙台市で生まれ育ちました。2011年3月11日も仙台市内で被災しました。震災直後に車のテレビで見た、津波の映像、福島原発の映像は今も鮮明に目に焼き付いています。

 震災が起こり、地元のために何かしたいと思う中で、「クラッシュジャパン」という震災支援団体に導かれ、そのスタッフとして2011年5月から2014年3月まで働きました。私たちは、宮城県の中心部を活動拠点としながらも、宮城県全域にボランティアを派遣していました。「クラッシュジャパン」は地域教会と協力して、地域教会の名前で支援活動をするということを大切にしています。それは、私たちがいずれ被災地から撤退する団体だからです。

〝分からない〟という答え
「ヨブ」の物語を読む中での気付き

 震災10年を振り返る中で、震災当時は理解できなかったものの、「今だから」理解できるようになったことがあるように思います。ある時、行政を通じて私たちの団体にボランティアの要請がありました。しかし、その地域の受け皿となる教会がありませんでした。そこで、私はその地域で牧会をされている先生に協力の依頼をしました。しかし、その牧師からは「協力はできない」という返答でした。当時、牧師から「被災地に新しい教会を作るとか、伝道のチャンスとか言うクリスチャンが多い。それは、私にとっては『言葉の暴力』だと思います」と言われました。

 私がどのような言葉で協力の要請をしたのかは、はっきりとは覚えていません。しかし、上記のような「教会を作れるチャンス」とか「教会にできることは福音伝道しかない」とか、そのような言葉、または雰囲気でお伝えしていたのかもしれません。当時の私は、「言葉の暴力」と言われた意味が理解できませんでした。「クリスチャンが当然、考えることなのではないか」という思いもありました。しかし、10年経った今は分かるような気がします。

 確かに、クリスチャンには福音が示している通り、「永遠の命」が与えられています。恵みによって救われたのにもかかわらず、無意識のうちにクリスチャンではない方に対して、優劣を付けて見てしまう恐れがあるのかもしれません。

 このことは支援活動に限ったことではありません。普段の生活の中でも、「クリスチャンとは何者なのか?」と、自問し続けることが大切なのだと思います。私はただ、主の憐れみと恵みによって生かされている者である。そのことを常に忘れてはいけないと教えられました。

 震災から10年が経った今も考えることがあります。それは、「私にとって震災とは何だったのか?」「支援活動とは何だったのか?」という問いです。震災後、無我夢中で最初の3年間を走り続けました。しかし、そのことにどのような意味があったのだろうかと考えてしまうのです。そのことをこの10年間何度も考えましたが、答えはいつも分かりませんでした。何度祈っても、神様からの応答はありませんでした。

 しかし、最近分かったことがあります。それは、「私たちには分からなくても良いことがある」ということです。私たちは、すべてのことに「意味」を見つけようとします。そして、それが見つからないと嘆いたり、つぶやいたりしてしまうことがあるのではないでしょうか。

 しかし、聖書に記されている「ヨブ」の物語を読む時に、一つの答えがあるように思います。ヨブは一日で愛する子どもと財産を失いました。また、自分自身も病気で苦しみました。そして、神様の前に苦しみに対する答えを求めますが、神様は最後までヨブの苦しみに対する答えは語りませんでした。神様がヨブに語ったことは、ひと言で言えば「神の偉大さ」でした。

 最後にヨブは「私はあなたのことを耳で聞いていました。しかし今、私の目があなたを見ました」(ヨブ42:5=新改訳2017)と告白しました。

 私も、「震災の意味」「支援活動の意味」は今も分かりません。しかし、偉大なる神様のみ手の中に、自分の過去、現在、未来が存在していることには確信があります。ですから、その偉大なる神様が私の手をしっかりと握っているのであれば、その答えは「分からないままでも良い」と、今は思うのです。

 確かに震災から10年という時間は過ぎましたが、今もなお、震災の「影」のような現場で戦い続けている方がいます。時間が経っても、震災は「終わっていない」。その事実を心にとめ、祈りを継続していきたいと思います。

ささき・あゆむ 1984年宮城県生まれ。リバイバル聖書神学校卒業。東日本大震災で被災後、一般社団法人クラッシュジャパンで3年間震災支援の働きに従事。2018年、保守バプテスト同盟恵泉キリスト教会会津チャペルの牧師補に就任。20年より同教会牧師。現在、平日は会社で働きながら牧師を続ける。

写真提供=クラッシュジャパン

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