日本カトリック映画賞に『コンプリシティ 優しい共犯』 2021年5月1日

 第45回日本カトリック映画賞(シグニス・ジャパン=カトリックメディア協議会=主催)は、技能実習生として中国から日本にやってきた青年と、彼が住み込みで働くことになった蕎麦屋の主人との心のつながりを描いた感動作、『コンプリシティ 優しい共犯』(近浦啓監督)に決定した。

 日本カトリック映画賞は、前々年の12月から前年の11月までに公開された日本映画の中で、カトリックの精神に合致する普遍的なテーマを描いた優秀な映画の監督に毎年贈られるもので、今回で45回目となる。ジャンルはさまざまで、これまでに『ぼけますから、よろしくお願いします。』(信友直子監督)、『この世界の片隅に』(片渕須直監督)、『ブランカとギター弾き』(長谷井宏紀監督)、『あん』(河瀨直美監督)などの作品が受賞している。

 今回受賞した『コンプリシティ 優しい共犯』は、短編映画「SIGNATURE」で高い評価を得た近浦啓(ちかうら・けい)監督の待望の長編デビュー作。技能実習生として来日するも、理不尽な労働現場に耐えきれず失踪し不法滞在者となってしまう中国人青年チェン。他人になりすまして蕎麦屋に就職したチェンは、孤独な店の主人・青山と少しずつ心を寄せ合うようになるが、避けられない現実が迫ってくる───。

 主演はベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞した『孔雀―我が家の風景―』でデビューした実力派俳優ルー・ユーライ。異国の片隅で希望を見失った青年の悲哀を、澄んだ眼差しと憂いのある繊細な表情で演じた。主人公を優しく見守る蕎麦人を好演するのは、日本を代表するベテラン俳優の藤竜也。トロントや釜山、ベルリンの映画祭でも上映され、東京フィルメックスでは観客賞にも輝いている。

 これまで技能実習制度は、ドキュメンタリーでは映像化されてきたが、フィクションでは触れられてこなかったテーマだ。近浦監督は、本当に作りたい映画を作る資金を得るためにウエブ制作会社を起業したといわれる。

 シグニス・ジャパンでは、受賞理由について次のように語っている。「『外国人労働者』に対する日本の社会の差別や分断の実態がこの映画から迫って来る。主人公の技能実習生を雇った蕎麦屋の主人にとって、一人の『外国人労働者』が法律よりも大切な『自分の息子』になっていくという、その優しい共犯を映し出す画面の向こうに、日本の希望が透けて見える」

授賞作品:『コンプリシティ 優しい共犯』
近浦啓監督/日本語/116分/配給:クロックワークス
公式サイト:https://complicity.movie/
2021年6月2日(水)配信開始。

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