【夕暮れに、なお光あり】 怪我の功名 島 しづ子 2021年6月11日

 急いでいる時に限って失敗する。先日早朝、高速道路に入ってから「うん? コーヒーメーカーのスイッチ切ってきたかなぁ?」と心配になった。引き返して、確認してから出発しても7時半の予定には間に合う。そこで次の高速出口でいったん降りてから、引き返すことにした。

 料金所で「すみません。高速を戻りたいのですが、どのようにしたら反対側に行けますか?」と聞くと、Uターン案内図を渡して説明してくれた。高速チケットに印を押し、車の車体番号を控えてから係員が言った。「あちらからUターンしてきて改札を通る時、チケットは取らずにそのまま入ってください。目的の高速出口でこのチケットを見せてくださいね」「はい、ありがとうございます」

 しかし、やっぱりUターンへの道を間違えた。ようやく反対側の高速入口に入り、チケットは取らないで目的の高速出口へ急ぎ、料金所で「すみません。こうなんですが……」とチケットを見せると、叱られることもなく「分かりました。お気をつけて」と返された。チケットは無料であった。

 実はこういうことを、今まで3回はしている。一度は名古屋時代のこと、友だちとおしゃべりしていたら、目的の高速出口を過ぎてしまった。仕方なく次の高速出口で「すみません。目的の出口を通り過ぎてしまいました。戻りたいのですが、どうしたらいいですか?」と聞くと、新しい高速道路だったからだろうか、係員の人がその場で安全にUターンさせてくれ、やはりスタンプを押して「目的地でこれを見せて支払いしてください」と。その通りにしたら、乗り越し料金は取られなかった。

 半年前には、宜野座インターで降りる予定が許田インターまで行ってしまい、同じように理由を話したら、乗り越し料金なしで、宜野座インターに帰れた。この話をしたら、知らない人が多くいた。まあ、こんな愚かなことをするのは私ぐらいかもしれないと思ったが、若い人でもわざわざ下道で戻ったという話も聞いたので、みなさんにこっそり教えてあげたいことだ。

 とは言え、沖縄高速道、インター付近にはこういう表示板が出ている。「乗り越してしまった人は次のインターでお降りください」と。おそらくだが、高速を逆走する人がいるからだろう。困った時は無理をしたり、見栄を張ったりせず、素直に人に尋ねてみるものだ。

 「仕事をするときは、知恵をひけらかすな。/困ったときには、見栄を張るな」(シラ書10:26)

 しま・しづこ 1948年長野県生まれ。農村伝道神学校卒業。2009年度愛知県弁護士会人権賞受賞。日本基督教団うふざと伝道所牧師。(社)さふらん会理事長。著書に『あたたかいまなざし――イエスに出会った女性達』『イエスのまなざし――福音は地の果てまで』『尊敬のまなざし』(いずれも燦葉出版社)。

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