日韓プラットフォームが「8・15光復・敗戦76周年」で日韓宗教・市民社会の共同声明 2021年8月11日

 日本と韓国の宗教者と市民でつくる「日韓和解と平和プラットフォーム(韓日プラットフォーム)」が、現在の日本と韓国の対立と葛藤を解決し、東アジアの平和をつくっていくための共同声明「8・15 光復・敗戦76周年日韓共同宣言文」を発表した。

 韓日プラットフォームは昨年7月、日本と韓国の市民団体や宗教界が、歴史の和解と平和的な両国関係の模索のために発足した。オンラインで行われた発足式には約50人が参加し、徴用工問題などで日韓両国の対立が高まるなか、両国の歴史を記憶して歴史の犠牲者の傷を癒やし、朝鮮半島の非核化と平和のプロセスを進め、日本の平和憲法を維持していくために活動していくことに合意した。しかしこの1年、日韓の間で対立の溝はさらに深まり、東アジアの状況は依然として平和には向かっておらず、日韓市民社会のあちこちから懸念の声が上がっている。

 そのような危機感を受けて韓日プラットフォームは、終戦記念日に当たる8月15を前に、両国市民の平和への連帯の歩みを止めずに、共に歩んでいくことを改めて表明した。

 日本にとって8月15日は、終戦を記念する日だが、韓国にとっては朝鮮が日本の植民地支配から解放された日であると同時に、朝鮮半島が真っ二つになる悲劇的分断の日だ。韓日プラットフォーム声明で、一向に解決に向かわない日韓の現状や、日米韓軍事同盟強化のため歴史認識を棚上げして政治的和解を迫る米国の動きなどに強い懸念を示し、日本国憲法9条をはじめとする憲法改悪の即刻中止や、韓国における南北共同宣言の履行、2018年の南北・朝米合意を早期に履行すべきなど、日韓米政府に10項目の要求を送った。

 そのうえで、韓日プラットフォームが宗教・市民社会をつなぐ架け橋となり、東アジアの平和とアジアの民主主義の貴重な種子であることを自覚し、平和を成し遂げるまで、共に行動していくことを強調した。

 声明の全文は以下のとおり。


日韓和解と平和プラットホーム
8・15光復・敗戦76周年日韓宗教・市民社会の共同声明

 日韓和解と平和プラットフォームは、日韓の対立を解消し、平和な東アジアの共同体を作るために2020年7月2日に発足し、2020年8月12日に「8・15光復・敗戦75周年日韓共同宣言文」を発表しました。

 1年が経った2021年現在、東アジアの状況は依然として平和に向かって進むことができな いまま、対立と葛藤の中にあります。日韓の間で対立の溝はさらに深まり、拡大しており、日韓市民社会のあちこちから懸念の声が上がっています。

 8・15光復・敗戦後、米国主導で作られた日本と韓国の戦後秩序は根本的な問題を抱えていす。米国は日本の植民地支配と侵略戦争の過去を覆い隠し、むしろ戦略的同盟者とし、韓国を分割占領した米軍政は抗日独立運動を率いてきた民族勢力を徹底的に弾圧しました。結局、8・15光復は、朝鮮半島が真っ二つになる悲劇的分断76年の出発点になりました。

 安倍・菅政権は「米国とともに戦争のできる国づくり」をめざして日本国憲法9条をはじめとする憲法改悪の試みを進めています。このような日本の国家主義と地域覇権を追求する極右政治は、韓国、中国、朝鮮民主主義人民共和国(以下、朝鮮)など周辺国の安全を脅かすだけでなく、日本の民主主義への重大な挑戦です。平和憲法9条を守り、生かすことは、東北アジアにおける平和の基盤であり、日韓の市民社会の最も緊急な課題であると言えます。私たちは平和憲法9条を守る日本の市民社会の闘いが東アジアに平和の声として広まっていくことを信じて共同の連帯と協力を続けていきます。

 平和協定の締結による朝鮮戦争の終結はいまだに実現できず、2018年の朝鮮半島の平和プ ロセスの成果である南北・朝米合意は、2019年ハノイでの朝米会談の決裂以降、事実上止まっている状態です。幸いなことに、2021年5月21日の米韓首脳会談の声明を通じて、バイデン政府がシンガポール宣言と板門店宣言を継承することとなり、朝鮮半島平和プロセスの再開の種火は確保しましたが、対朝鮮制裁と米韓合同軍事演習、そしてコロナ禍などがその行く手を遮っています。特に、朝鮮半島平和プロセスに対する日本の敵対的介入が、ボルトン回顧録と菅政府の日米首脳会談などで繰り返して明らかになっており、日本の宗教·市民社会の支持と連帯が、朝鮮半島平和プロセスの実現の貴重な資産であることを改めて確認します。一方、7月27日南北直通連絡線が復元されました。朝鮮半島の平和に向けた南北の対話再開を歓迎し、復元された直通連絡線が南北間の交流協力と朝米間の対話につながるきっかけになることを期待しています。私たちは、韓国の宗教·市民社会が展開している終戦宣言と平和協定締結のためのキャンペーンが朝鮮半島の平和と非核化のための先決課題であることを共同で確認し、世界市民社会とともに積極的に参加していきます。

 オバマ、トランプ、バイデン政府を経て、中国に対する米国の外交·軍事的圧迫は強まっており、米中対決は東アジアの平和秩序への重大な危険になっています。米国のインド太平洋戦略とクワッドによる対中国封じ込めに日本はすでに参加しており、韓国もクワッド・プラスへの参加を要請されています。日米韓の軍事同盟に対する米国の要求の強まりと在韓米軍の役割の再評価、拡大などは東アジアの平和を全面的に揺さぶっています。これに対して私たちは深い憂慮を表し、米国が東北アジア諸国間の対話を尊重することを期待します。

 一方、日本政府は依然として、植民支配と侵略戦争から始まった過去清算の課題に対する責任を認めておらず、さらに歴史を歪曲して被害者を侮辱し続けています。平和の少女像に対する執拗な攻撃、持続する朝鮮学校への差別、五輪の旭日旗問題、「嫌韓」感情の拡散などは、日本政府の退行的な歴史認識にその根本的な原因があります。韓国と中国でも国家主義と愛国主義が次第に力を得て敵対感が高まっています。互いに対する誤解や小さな対立まで、ネット空間を中心に極端な対立に突き進むのが常です。このような国家主義的対立は、各国政府の政策だけでは解決できません。日韓両国の対立と葛藤、さらに東アジア各国の相互認識の改善と平和共同体づくりは、市民民主主義と平和勢力の拡大を通じてのみ、根本的な解答を見出すことができるでしょう。

 私たちはラムザイヤー論文問題で現れた日米韓歴史修正主義者の行動、日米韓軍事同盟の強化のために日韓両国に被害者を排除し、歴史認識を棚上げにした政治的和解を迫る米国の動きに強い懸念を示し、平和と人権、民主主義のための市民勢力の連帯をさらに強化し、植民地主義の克服のための努力を続きます。私たちは、東アジア平和の実現に不可欠な正しい歴史認識の共有のため、韓日両国の青少年と市民に向けた歴史教育と平和教育を拡大し、青年文化交流と相互訪問などのように小さいながらも重要な実践を通じて、お互いに理解し合い、連帯するための努力を持続的に拡大していきます。

 私たちは現在の日本と韓国の葛藤を解決し、東アジアの平和をつくっていくために、平和を願っている両国の市民の声を集めて実践し、平和への連帯の歩みを共に歩んでいきます。

私たちの要求:

●日本政府は「戦争のできる国づくり」の試みと憲法9条をはじめとする憲法改悪を即刻止めるべきである。

●日本政府は植民地支配と強制動員、日本軍性奴隷制問題を直視して、反省すべきである。また、法的責任を認めて被害者に謝罪すべきである。

●日本政府は在日韓国・朝鮮人に対する民族差別を止め、朝鮮学校の高校授業料無償化と幼稚園・保育園の保育料無償化を直ちに適用すべきである。

●日本政府は在日韓国・朝鮮人へのヘイトスピーチを放置してはならず、『表現の不自由展』への妨害を許してはならない。

●日本政府は、沖縄の基地問題を直視し、基地のない沖縄の実現に努力すべきである。このために、辺野古新基地建設をただちに中止し、南西諸島の軍備強化を止めるべきである。

●韓国政府は南北共同宣言を履行し、朝鮮半島の平和と繁栄、統一の新しい歴史を開拓し、さらに東アジアの平和の実現の為に努力すべきである。

●韓国と米国政府は2018年の南北、朝米合意を早期に履行すべきである。

●日韓両国政府は、中国封じ込めのための米国のインド太平洋戦略とこれに基づいたクワッド体制への参加を直ちに中止すべきである。

●日韓両国政府は正しい歴史認識と過去の清算に向けて努力し、共同で真相究明にあたるべきである。とりわけ日本政府は歴史教育に対する不当な介入をやめ、「和解と平和を実現する」歴史教育に取り組むべきである。

●国連と米国は反人道的、反人権的な対朝鮮制裁を直ちにやめるべきである。

 「日韓和解と平和プラットフォーム」は、宗教·市民社会をつなぐ架け橋となり、平和の世界を実現する梃子として、そして、和解の呼び水として、日韓両国の懸案だけでなく、東アジアの平和とアジアの民主主義の貴重な種子であることを自覚し、平和を成し遂げるまで、連帯し、協力し、共同の行動を強化していきます。

2021年8月12日
日韓和解と平和プラットフォーム

【共同代表】
〈日本〉
小野 文珖(宗教者九条の和)
髙田 健(戦争させない・9条壊すな!総がかり行動)
野平 晋作(ピースボート)
光延 一郎(日本カトリック正義と平和協議会)

〈韓国〉
金敬敏 事務総長(韓国YMCA全国連盟)
鴻政 牧師(総務、韓国基督教教会協議会)
鄭仁誠 敎務(理事長、南北ハナ財団)
韓忠穆 常任代表(韓国進歩連帯)

【運営委員】
〈日本〉
渡辺 健樹(日韓民衆連帯全国ネットワーク)
渡辺 美奈(「女たちの戦争と平和資料館」=wam)
石川 勇吉(愛知宗教者平和の会)
小田川 興(在韓被爆者問題市民会議)
北村 恵子(日本キリスト教協議会女性委員会)
金性済(日本キリスト教協議会総幹事)
白石 孝(日韓市民交流を進める希望連帯)
平良 愛香(平和を実現するキリスト者ネット)
武田 隆雄(平和をつくり出す宗教者ネット)
中井 淳(日本カトリック正義と平和協議会)
比企 敦子(日本キリスト教協議会教育部)
飛田 雄一(神戸青年学生センター)

〈韓国〉
姜周錫 神父(民族和解委員会の総務、カトリック主教会議)
辛承民 牧師(局長、韓国基督教教会協議会)
鄭常德 敎務(中央総部の霊山事務所長、円仏教)
金恩亨 副委員長(全国民主労働組合総連盟)
孫美姬 共同代表(ウリハッキョと子どもたちを守る市民の会)
安知重 執行委員長(韓国進歩連帯)
嚴美京 統一委員長(韓国進歩連帯)
申洙
 運営委員長(韓国基地平和ネットワーク)
尹淳哲 事務総長(経済正義実践市民連合)
尹貞淑 共同代表(緑色連合)
李娜榮 理事長(正義記憶連帯)
李信澈 常任共同運營委員長(亞細亞平和と
史敎育連帶)
李泰鎬 運営委員長(市民社会団体連帯会議)

【事務局員】
〈日本〉
くじゅう のりこ(東アジアの和解と平和ネットワーク)
昼間 範子(日本カトリック正義と平和協議会)
藤守 義光(日本キリスト教協議会総務)
渡辺多嘉子(平和を実現するキリスト者ネット)
佐藤 信行(外国人住民基本法の制定を求める全国キリスト教連絡協議会)
潮江亜紀子(外国人登録法の抜本的改正を求める神奈川キリスト者連絡会)

〈韓国〉
金英丸 対外協力室長(民族問題研究所)
文星根事務總長(興士團)
多恩(韓国YMCA全国連盟)
韓喜琇(韓国YMCA全国連盟)

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