〝分断越えてつながる模索〟 「歴史の裂け目」から戦後史をとらえ直す 2021年9月1日

 日本キリスト教協議会(NCC)靖国神社問題委員会の後援で毎年8月15日に開かれてきた「許すな!靖国国営化8・15東京集会」(同実行委員会主催)は、「歴史の裂け目をとらえる――沖縄から見る戦後史再考」と題する大野光明氏(滋賀県立大学准教授)=写真=の講演と、視聴者による質疑応答をオンラインで配信する形で開催された。

 講演で大野氏は沖縄戦とその後の米軍占領の歴史を概観し、「日本の『平和と民主主義』や経済成長は、沖縄の軍事化やアジアの軍事的緊張と密接に関わる形で成立し得ており、それは過去の植民地主義を否認・忘却していく歩みでもあった」と指摘。1972年の沖縄の施政権返還が、戦後の東アジアにおける地政学的な分断をより強化してきた経緯を解説した。

 また、「国民国家」という構造の中に埋め込まれた暴力で不可視化された矛盾や声、経験が可視化され、戦後体制を大きく揺さぶる出来事を「歴史の裂け目」とした共著『戦後史再考』(平凡社)の表現を引用しつつ、その具体例として本土復帰を求める沖縄闘争がベトナム反戦運動や大学闘争、反差別運動にも「共鳴」していった広がりについて紹介した。

 辺野古・高江での座り込みに参加した大野氏は、自身が住む京都府でも基地建設反対運動に携わった。当時、ブログでは「言いたいことが言えない息苦しい空間に、少しでも亀裂を入れて空気を解きほぐすことが求められている」とつづった。そうした経験を、「国家安全保障をレイシズムやセクシズム、貧困などの視点から相対化し、別の共同体をつくる試み」「体制がつくり出す分断を越えてつながる模索」だったと振り返り、「当事者性とは、ある現実と向き合う関係性のこと」であり、「沖縄に積み重ねられてきた歴史と現在を共鳴させる回路をどうつくれるか」が自身の命題であると語った。

 講演後の質疑では、沖縄の社会運動史におけるキリスト者の位置づけについて、「平和運動をけん引する役割を折々に果たしたのがキリスト者。黒人兵による反戦運動において、米軍関係者が踏み込めない教会が拠点の一つとなっていた」と応じた。

 動画は8月31日まで公開中。

社会・教育一覧ページへ

社会・教育の最新記事一覧

TO TOP