性教育研究会がオンラインで公開研究大会 家庭・学校・養護施設から報告 2021年9月11日

 キリスト教性教育研究会(水谷潔会長=日本福音キリスト教会連合春日井聖書教会協力牧師)が主催する公開研究大会が8月11日、初めてオンラインで開かれた。同研究会は産婦人科医、牧師、教師、研究者と共にアブステナンス(性行動コントロ-ル)性教育の根底を問いつつ、実践の道を探ることを目的に毎年1回開催されてきた。

 13回目を迎える今回は「聖書に基づく祝福された性――家庭・学校・児童福祉の現場から」という総テーマのもと、遠藤徹氏(聖心女子大学キリスト教文化研究所所員)が「『アガペー』(尊びの愛)に基づく性教育」と題して基調講演。次いで坂本かおり氏(日本基督教団葦のかご教会副牧師)の司会により、長谷川はるひ(日本キリスト改革派新潟教会伝道者)、大矢正則(東星学園小学校・中学校・高等学校校長)、鈴木ますみ(児童養護施設ベトレヘム学園施設長)の3氏がそれぞれ、家庭、学校、養護施設の現場から実践報告を行った。

 遠藤氏は、「アガペーに基づく性の教育」を目指す上で人間の品位、気高さとしての「尊さ」が不可欠とし、「戦後、人権思想が台頭し、個人の自由や人権を尊重するようになった一方、品性の高さに対する尊敬が疎かにされた」と指摘。「アガペー」とは「尊ぶ愛」であると確信するに至った聖書的根拠を紹介し、若者へ性との向き合い方を説く際に「大切にする」だけでは不十分であり、「敬虔」「謙虚」「畏敬」の念をもって「尊び愛す」ことを伝える必要があるのではないかと提起した。

 「多様な価値観の中で、祝福された性について話そう」と題して発言した長谷川氏は、教会学校の卒業生から受けた質問に答える形で2004年に執筆した冊子『性について話そう――のんちゃん&おかあさん』=写真上=の内容を引用しつつ、「相手の価値観を理解し、自分と異なる意見に対して意見ができる訓練」の必要性を強調。

 大矢氏は、「ミッションスクール高校生の性意識」と題して自らが授業で行った意識調査の結果を紹介=写真下。性行為は「好きな人と合意の上ならば行ってよい」との回答が男子で5割、女子で7割を超えたこと、「カトリック教会では『避妊具を使った避妊を認めていない』ことを知っている」との回答が男子で0%、女子でも15.9%に留まったこと、「人間の性は、生物的なオス(男)とメス(女)しかなく、他の性は認めてはならないと思う」との回答は男女とも7%未満だったことなどを共有した。

 その上で、近年出版される性教育関連書籍の中で啓発的な意味から「性的合意」が強調されている点に注目し、「合意さえあれば問題ない」とする傾向に拍車がかかるのではないかと懸念を示した。

 「児童養護施設における生と性教育」と題して発題した鈴木氏は、昨年度の在籍児童のうち7割の入所理由が「虐待」であること、生い立ちについて知ることでアイデンティティを確立し、自らの命を肯定する契機になることなどを報告した。

 全体討議では、性教育の実践における課題や、性的マイノリティに関するとらえ方などについて意見が交わされた。

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