ギルガメシュ叙事詩の粘土板、米からイラクに戻る 2021年9月27日

 30年前にイラクの博物館で盗まれ米国に密輸された「ギルガメシュ叙事詩」を記した粘土板が9月24日、イラクに返還された。国連教育科学文化機関(ユネスコ)のオードレ・アズレ事務局長は、ギルガメシュ叙事詩は「人類共通の宝」だとし、粘土板が本来あるべき場所に帰ることは「遺産の破壊者に対する国際社会の大きな勝利だ」と述べた。

 ギルガメシュ叙事詩は、古代メソポタミアの王ギルガメシュが不死を求めて放浪する物語で、世界最古の文学作品の一つ。ほぼ13センチ×15センチ大の粘土板は、シュメール語が楔形文字で刻まれている。盗まれた粘土板は、2001年に英国で発見された。米国の美術商が03年、ロンドン在住のヨルダン人から購入。米国に密輸し、偽の鑑定書を付けて07年に5万ドル(約550万円)で古美術商に売却した。

 14年には、ハンドメイド用品チェーン「ホビーロビー」のオーナーで、ワシントンに「聖書博物館」を創設したスティーブ・グリーン氏が、同博物館で展示するため、盗品だとは知らず167万ドル(約1億8400万円)で購入した。しかし17年に博物館の学芸員が鑑定書が正規のものでないと気付いた。

 イラクでは、数十年にわたり歴史的文化財が略奪されている。米国は今夏、約1万7000点の文化財をイラクに返還したが、その大半はメソポタミア最古の文明の一つである約4000年前のシュメール王朝時代のものだった。(CJC)

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