教皇が痛烈な皮肉 「私の死を望む人々もいた?」 2021年9月28日

 教皇フランシスコは9月12日、教会の一部には7月に受けた結腸手術の成功を望まない人々もいたと冗談を言い、カトリック教会を弱体化させることで「悪魔の仕業」を行う保守論客を非難した。訪問していたスロバキアの首都ブラチスラバで、イエズス会の会合に出席した際のコメントを、イエズス会誌「ラ・チビルタ・カットリカ」が9月21日に報じた。

 出席者から健康について尋ねられた教皇は、「まだ生きている。私に死を望む人々もいたようだが」と答えた。さらに、「教皇の病状が公表されている内容よりも深刻だと考えた高位聖職者が会議を開き、教皇選挙(コンクラーベ)の準備をしていたことも知っている」と述べた。

 2013年、教皇に選出されたフランシスコは今年7月4日、結腸憩室炎の手術を受け11日間入院し、10日後に退院している。教会が直面する課題に取り組んできた教皇は、伝統主義者に対して「引き返すことは正しい方法ではない」とけん制し、前進することが重要だと述べた。

 また名指しこそしなかったものの、「主要なカトリックテレビ局」が繰り返し自身を攻撃していると指摘。「私は罪人なので、攻撃や侮辱に値するかもしれないが、教会はこれに値しない。それは悪魔の仕業だ」と語った。

 教皇は近年、移民から気候変動に至るまであらゆる社会問題に関する意見と共に、さまざまな神学的課題に対する立場に不満を持つ、強力なアメリカの保守派から批判の的となっている。

 教皇は、聖職者からの批判について時に怒りを覚えることを認めた。「真の対話に踏み込むことなく判断を下す時、しばしば忍耐を失う。そこでは何もできない。しかし私は、彼らの考えや妄想に立ち入ることなく先に進む」。また、そうした聖職者の「かたくなさ」を警告し、「神は社会が自由であることを望む」と加えた。

 カトリック教会は、「同性愛指向は罪深いものではないが、同性愛『行為』は罪深い。しかし教皇は、おそらく他のどの教皇よりもLGBTに対してより寛容だった」としている。

 「私たちは性的マイノリティに寄り添うことを恐れている」と、雑誌の取材で教皇が語ったと引用されているが、司祭たちは同性愛カップルにサポートを提供するべきとも付け加えた。

 一方、教皇は性が生物学的でなく、社会的役割によって決められるという「ジェンダーイデオロギー」の台頭については警戒を示し、「ジェンダーイデオロギーは、具体的な命に関して、あたかも人が男性になるのか女性になるのか、またいつなるのかを、観念的に自らの意志で決めることができるかのような空論で、危険だ」と語った。

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