もはや魔術はハロウィンだけのものではない 2021年11月10日

 毎年ハロウィンが近づくと、メディアは魔女探しに奔走し、魔術が「本物」であることを証明する記事を掲載する。ソーシャルメディアのタイムラインは魔女のハッシュタグで埋め尽くされる。魔女はこの1カ月間、どこでも目にすることができる。「レリジョン・ニュース・サービス」の記事から紹介する。

 クリーブランドにあるバックランド魔術博物館の館長、スティーブン・インターミル氏は、「10月以外の魔術ビジネスのメディア報道を正常化してほしい」とツイートした。「私はベルタン(メーデーのフェスティバル)のころに、私たちが1年中やっていることについてインタビューを受けることを夢見ている」と書いている。

 魔女とハロウィンの関連性は自然で直感的なもののようだが、直感的に見える多くのもののように、歴史がある。20世紀にハロウィンがますます商業化されるにつれて強調されるようになった、信念、恐怖、民間伝承と自然の長く曲がりくねった物語があるのだ。

 このつながりは必ずしも問題ではない。どんなサブカルチャーにも輝く時間は必要だし、魔術関連のビジネスや町全体が直接恩恵を被る。17世紀に最も悪名高い魔女裁判が行われたマサチューセッツ州セーラムでは、魔女の祭典『死者の祭り』の著者で運営者のサンドラ・マライア・ライト氏は、「魔女の熱狂は毎年数十万ドルも街にもたらす」と述べている。

 セーラム出身のライト氏によれば、1992年に魔女裁判から300周年を迎えて以来、かつて夏の観光地に過ぎなかったセーラムが、毎年10月には観光客であふれ返るという。世間やメディアが把握していないのは、ハロウィンが終わり、プラスチック製の大釜が消えても、本物の魔女は消えないということだ。

 「私が初めて魔術の儀式に参加したのは、春分の日のお祝いだった。私有地の畑の真ん中で行われ、グループのリーダーが祭壇と大釜を丹念に準備し、ろうそくに火をつけ、私を含むゲストを神聖な空間に招待した」「6週間後、私はベルタン、6月の夏至、8月の収穫祭、その後すべての季節の祭りに参加した。私が言いたいのは、魔術の実践は1940年代のブロードウェイ・ミュージカルの主人公の町のように、年に一度現れては霧の中に消える「ブリガドゥーン」の不気味なバージョンではないということだ。魔術には時間的な制約はなく、カボチャも必須条件ではない。魔女になれば、毎日がおまじないの日なのだ」

 過去数十年間にウィッカン(欧州古代の多神的宗教、魔女崇拝をする人)、魔女、その他の異教徒の実践者が増加してきたことを考えると、10月に魔女を隔離することはあまり意味がない。トリニティ・カレッジの2008年の調査では、1990年に推定8000だったウィッカンは2008年には約34万人に増加した。ピュー・リサーチ・センターが2014年に行った調査によると、ウィッカンや異教徒として識別されるアメリカ人は約100〜150万人いるという。これらの数字は、9月30日から11月1日の間に魔法のように膨らむわけではない。魔女は1年中、タロット(占い用カード)を読み、神々に供え物をし、儀式を行っている。

 ハロウィンの時期に魔女や魔術に注目が集まるのは、諸刃の剣だ。神話を払拭し、増え続ける求道者にリソースを提供し、魔術のさまざまな顔を披露する機会となる。しかし同時に、商業化されたキッチュなものやその他のホーカス・ポーカスを中心とした積極的な活動の旋風を巻き起こし、それは往々にして否定的で品位のないものになりかねないのだ。

 「#witchtober」は楽しいか、少なくとも黙認されているが、現代の魔女の多くは、特に子どもを持つ人はしばしば世俗的なハロウィンを祝う。10月31日から11月7日までの間に行われるサムハインは、より厳粛に死者を追悼する。内省し、収穫を祝い、先祖を称える。

 このように、10月は他の季節には感じられない精神的な力を魔女に提供するが、それはちょうど文化的にも注目されている「魔女の季節」だ。しかし、他の宗教が太陽の行き来、収穫と毎年の再生に基づいて祝うのと同じサイクルで、魔女も祝っていることだろう。恐れずに、春になったら大釜の周りに来て、何が醸造されているのかを見てみよう。

Photo by Fredrik Solli Wandem on Unsplash

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