【CT】 2021年に急増した聖書検索キーワード「魔術」 ワクチン論争が原因か 2021年12月15日

 聖書は大手製薬会社について警鐘を鳴らしているのだろうか? マスク着用を推奨しているのだろうか? 2021年、クリスチャンはその答えを求めてグーグル検索をフル活用した。米「クリスチャニティー・トゥデイ」が報じた。

 2020年に初めてパンデミックが発生した時、クリスチャンは恐怖、慰め、癒やしに関する聖句を探し回った。1年後、彼らの聖書検索の習慣は、コロナ禍への対応をめぐる継続的な衝突を反映している。

 聖書検索サイト「バイブル・ゲートウェイ」で過去1年間に最も急増した検索語は「魔術」。2020年に比べ193%も多くのクエリーを集めた。この現象は、昨今の魔術台頭による増加ではなく、コロナワクチンをめぐる議論に触発された変化である。

 「魔術」の増加は、ギリシャ語の「pharmakeia(薬物)」に対する関心の高まりと関連しており、新約聖書の『ムンス・コンシーズ・ギリシャ語-英語辞典』によると、「あらゆる目的のための薬物の投与、魔術、魔法、魅惑」を意味する、と「バイブル・ゲートウェイ」のコンテンツマネージャー、ジョナサン・ピーターソン氏は書いている。「バイブル・ゲートウェイ」の年次トレンドの分析は、サイト上のデジタルプロジェクト担当シニアディレクターであり、「OpenBible.info」の聖書テクノロジーの第一人者であるスティーブン・スミス氏による。

 聖書がワクチンやワクチンの義務化に対して預言的に警告していると主張する際、この「魔術」を持ち出すクリスチャンがいる。この言葉は「医薬品」という言葉と語源を共有しているためだ。

 「pharmakeia」はガラテヤの信徒への手紙(5:20)で使用され、パウロが忠告する「肉の行為」の中に挙げられているとピーターソン氏は指摘する。バビロンに対する宣言の中で、「魔法の呪文」と訳されている。終末を重視するキリスト教徒の間で、しばしば「ワクチンはヨハネの黙示録に出てくる獣の印を表している」という指摘と一緒に語られる傾向がある。

 昨夏の「USAトゥデイ」の記事では、ヘブライ・ルーツ運動のあるキリスト教徒が、勤務するケンタッキー州の病院でワクチン接種の宗教的免除を要求する理由として、黙示録(18:23)の「pharmakeia」を引用していた。

 クリスチャンシンガーでアメリカンアイドルのスターでもあるダニー・ゴーキー氏は、「黙示録では、全世界がいかににpharmakeiaに欺かれるかも強調されている」とTwitterで呼びかけた。

 パンデミック以前は、カリスマ的指導者の中には、薬物使用の霊的な危険性を警告するために「pharmakeiaの霊」に言及する者もいた。また、パウロは薬物によって誘発された古代の中絶の方法を参照し、それを非難するためにこの言葉を使ったと示唆する人もいる。黙示録の一節にバビロンの「商人」の重要性が言及されていることから、この言葉はコロナワクチンの接種で利益を上げている「大手製薬会社」の議論に持ち込まれたのである。

 数秘術とドナルド・トランプに関する複数の本の著者であるオーストラリアの牧師、スティーブ・チオコランティ氏は最近、「黙示録が『pharmakeia』の薬や魔術について警告しているのは不思議ではないか。これはエホバ・ラファ(癒やす神)に代わる麻薬マフィアだ」とツイートしている。

 これは、黙示録の「獣の印」に対する警告についての主流な聖書解釈ではないし、終末を重視するキリスト教徒が伝統的にこの言葉をどう理解してきたかを表すものでもない。新約聖書学者でカリスマ派クリスチャンのクレイグ・キーナー氏は、コロナワクチンが「獣の印」を表す可能性があるという主張を退け、医療行為ではイエスを放棄したり偽の神を崇拝することを要求するようなことはないと指摘した。

 2021年に最もアクセス数が増加した個々の聖句も、パンデミックの議論から大きな後押しを得た。顔を覆わなければならない感染者に言及するレビ記(13:45~46)は、「バイブル・ゲートウェイ」のサイトで前年よりも626%人気があった。「病にかかった人は衣服を引き裂き、髪を垂らさなければならない。また口ひげを覆って、『汚れている、汚れている』と叫ばなければならない」と書かれている。「その患部があるかぎり、その人は汚れている。宿営の外で、独り離れて住まなければならない」

 この聖句は、マスクの着用やその他の公衆衛生上の予防策を奨励したいと考えるキリスト教徒や、キリスト教徒向けに呼びかける人々によって用いられている。アメリカ科学者連盟の疫学者は、「聖書におけるマスクと隔離」の例として、この一節を紹介した。

 バンクーバーのオークリッジ・アドベンチスト教会牧師のローダ・クライン・ミラー氏は、この一節が、記録に残る最古の地域保健対策と 「神が与えた疾病予防の指示 」を表していると振り返った。「医学がこれらの習慣を説明し、確認するのに何千年もかかったが、これらの体の設計者(神)がそれらを最もよく保護し、世話をする方法を知っていたことに驚くべきではない」と彼女は記した。

 「バイブル・ゲートウェイ」のスミス氏によると、2番目にアクセスが多かったのはルカによる福音書10章18節のサタンに関する一節で、ラッパーのリル・ナスXが3月に「サタンの靴」をリリースした際にトレンドとなった。この聖句では、イエスが「サタンが稲妻のように天から落ちるのを見ていた」と言っている。過去1年間で518%増加した。

 「バイブル・ゲートウェイ」は2021年、1日約300万回検索されたが、人気の聖書アプリ「YouVersion」は先月、総インストール数が5億に達した。ほとんどの聖書の読み方はコロナ禍に焦点を当てておらず、今年の最も人気のある聖句は「バイブル・ゲートウェイ」のヨハネによる福音書3章16節、「YouVersion」ではマタイによる福音書6章33節だっだ。

 「YouVersion」の創設者であるボビー・グルーンウォルド氏はプレスリリースで、「今年も高いレベルで聖書が読まれたことは、人々が疑問に対する答えを求めて神と聖書に目を向けていることを意味するので、私たちは励まされる」と述べている。

(翻訳協力=中山信之)

Image by congerdesign from Pixabay

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