季刊「Ministry」年明け50号で区切り 他誌と一線画する12年の歩み 2021年12月25日

 キリスト新聞社が発行する季刊誌「Ministry(ミニストリー)」が、2022年発行の50号をもって終了す る。「次世代の教会をゲンキにする応援マガジン」をキャッチコピーとし、ホットでリアルな情報 を12年間にわたって発信してきたこれまでの歩みを振り返ってみたい。

 Ministry(ミニストリー)は2009年に創刊。当時は、新聞購買数も減少し、大手出版社の老舗雑 誌の休刊が相次ぐという「冬の時代」で、編集主幹も「どこまで続けられるかわからない」とい う危機感を抱えての船出だった。しかし、その一方で、キリスト教界の新しいメディアを作るとい う意気込みにあふれた出発でもあった。コンセプトは、牧師・教会役員のための教派を超えた総合情報誌。

 「次世代の教会をゲンキに『再興』するためには、キリスト教がうちに秘めた豊かな伝統と文化を重んじながら、かつ既存の教会像、牧師像、信仰観を根本から問い直し、多面的に『再考』しなければならない。そうして初めて、『やっぱり最高』といえるかどうかわかるはずなのだ。本誌は引き続き、その一助となるあらゆる情報を発信し続ける」

 これは創刊4年目となる2012年春号(13号)の編集後記に記された一節だ。Ministryは創刊当初から、他のキリスト教界の専門誌とは一線を画するところがあった。しかし、誌面の目玉となるようなロングインタビューは、日本の教会を代表する説教者が名を連ね、それらは貴重な記事ばかりだが、どうしても「教えてあげる → 教えを請う」となってしまい、現場で問題となっているリアルな話を深く掘り下げるものではなかった。それが変わっていったのが、創刊4年目あたりだ。

 社会学者の橋爪大三郎と大澤真幸の共著『ふしぎなキリスト教』(講談社現代新書)がヒットし、ちょっとしたキリスト教ブームが起こった。そこで、キリスト教界外から見たキリスト教と、内側から見たキリスト教を特集し、ノンクリスチャンの人たちがキリスト教をどのように見て、何を知りたいと思っているのかを探るとい特集を組んだ。この辺りから、Ministryは超教派であるだけでなく、さらに大きな枠でキリスト教界の問題に取り組むようになっていたように感じる。掲載記事も時流に乗ったポップなものが増えていき、Ministryのスタイルが確立されたのではないだろうか。

 それ以降、現在に至るまで、牧師の苦悩や、牧師夫人問題など、正面から取り上げられることのなかった教会の現場の課題、少子・高齢化、福祉など社会的課題に教会がどう対応していくかなど積極的に取り組み、リアルな情報を提供してきた。創刊10年記念号の中で、創刊以来、愛読しているという兵庫県立大学准教授の川向肇氏は、Ministryが取り組んできた特集や連載に挑戦的精神を感じると述べた上で、次のように語っている。

 「外部の人々からは、教会はどう見られているか、教会が現代日本社会でどう受け止められてきたのか、という視点を読者に提供し続けてきたと思います。これらの視点は一読者として重要な視点であると感じ続けてきました」

 同号ではフリーライターの玉井理央氏も、教会の真ん中にいない信徒の声、教会外からの声にも耳を傾ける価値があると示したことが、Ministryの大きな功績だと話している。

 当初、牧師や役員をターゲットにした総合情報誌として出発したMinistryだが、作り手の思いを超え、多くの読者層に支持されてきた。その理由は、これまで見落とされてきたことに光を当て、視点を教会の外に向けたことにある。同時にそれは、キリスト教会の課題を明るみにさらすことにもなった。

 精神科医で作家の加賀乙彦氏が、2012年のインタビューの中で、「宗教は楽しく美しい」と話している。誰でもうなづきたいこの言葉に、どうしてもうなづくことができず悩み苦しむクリスチャンもいる。Ministryは、そういった人たちを元気にするために12年間、果敢に挑戦し続けてきた。日本のキリスト教界に比類ない雑誌として、燦然たる足跡を残すMinistry。最新の第49号は全国のキリスト教専門書店にて発売中。

(ライター 坂本直子)

【Ministry】 特集「危機の中のメディア」 49号(2021年秋)

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