アフリカの森を守るため、信仰に基づく自然保護団体が凝らす工夫 2022年1月31日

 ダカチャの森林にはアフリカで最も小さなフクロウや、地球上のどこにもいない金色の毛をもつ足の長いトガリネズミ、そしてケニアの鳥類学者コリン・ジャクソン氏が13年かけて繁殖地を突き止めたほど珍しいウィーバーバードが生息している。東アフリカの生息地は、ケニアの海岸沿いの町マリンディの北に広がる約46万5000エーカー(約1880キロ平米)の土地で、気候変動、農場の拡大、木炭生産などの脅威に常にさらされている。

 「私たちは破壊の大波と戦っている」と自然保護団体の代表であるジャクソン氏は「クリスチャニティ・トゥディ」に語った。

 森林を守るためにできることは限られている。環境保護法の制定を働きかけることもできる。土地を購入し、その管理を委託する。お金を集める。意識を高める。生物多様性のために生息地の重要性に関する科学的調査を推進する。そして、祈ることもできる。

 「かなり絶望的な状況に見えたこともありったが、何とか打開して事態は好転した」

 キリスト教精神に基づく環境保護団体の国際ネットワーク「ロシャ・ケニア」は、ダカチャの森やその他の重要な場所を守るために「祈りの壁」を設置した。これは、世界各地にいる約80人のクリスチャン自然保護活動家からなるグループで、危機に直面した時に執り成しを求めることができる。

 多くの人が祈りの力に懐疑的で、切迫した社会問題に行動を起こさない方法だとして、「思考と祈り」を祈願する人々をとりわけ強く批判する向きがある。しかし、環境問題を重視するキリスト教徒は、大きな必要性に見合った霊的道具として、執り成しをすることが多くなっている。

 スコットランドで開催される国連気候変動会議に先立ち、アジア、ヨーロッパ、北米の信者が毎月集まり、排出量目標を交渉している各国政府のために執り成しをした。会議では、キリスト教徒のオブザーバーが「神の臨在」を求めて祈った。

 ケニアのキリスト教保護団体は、多くの希少生物が生息する森林を守るために祈る信者を組織している。自然保護における霊的なものと現実的なものの融合は、ケニアでは目新しいものではない。ジャクソン氏の同僚の多くはキリスト教徒であるか、キリスト教のバックグラウンドを持っている。この地域での政府の会議は、しばしば祈りで始まり、祈りで終わる。

 しかし、自然保護活動家の中には、このようなアプローチを厳しく批判し、キリスト教の信念に重きを置いた環境保護活動には反対する人もいる。

 ケニアの非営利団体「自然保護ソリューション・アフリカ」の代表であるモルデカイ・オガタ氏は、現在ケニアで実践されている自然保護モデルは、「人種的偏見と白人支配に染まっている」と語った。脱植民地化を試みるのではなく、自然保護活動家として知られるアメリカ大統領セオドア・ルーズベルトや、スコットランド系アメリカ人の自然主義者で「国立公園の父」ジョン・ミューアといった人々を引き合いに出す。

 「アフリカの社会では、精神性は環境保護と密接に結びついているが、このアフリカ的精神性は常に宣教師とキリスト教によって中傷されてきた」とオガダ氏。「キリスト教に基づく自然保護は、キリスト教の信仰を持たない人々を即座に排除してしまう」

 しかし、モニトバ大学の天然資源研究所の研究員であるジョアン・モイヤー氏は11カ月間、ケニアの持続可能な開発と環境保護における宗教団体の役割について調べたが、そのような論拠は見受けられなかったという。

 現在アルバータのキングズ大学環境学・地理学の准教授であるモイヤー氏は、「ロシャ・ケニアは、私が調査した組織の中でも、祈り、聖書研究、礼拝を組織生活の規則的なリズムに組み込んでいるという点で、明らかにキリスト教寄りである一方、非キリスト教徒に対する彼らのアプローチは、敬意を持って歓迎していると言える」と語った。「無神論者のボランティアもいたが、彼女はキリスト教的な活動への参加を強要されたことは一度もなかった。彼女に非キリスト教徒としてそこで働くことをどう感じるか聞いたが、彼女は『ちょうどいい』と言っていた」

 モイヤー氏はまた、宗教的なアプローチによる自然保護活動は、西洋の学術的・科学的な環境保護活動や自然保護活動よりも、ケニア人の心に響くのではないかと考えている。

 「ロシャ・ケニアのような信仰を基盤としたグループは、地元の人々が理解できる言葉で彼らとつながることができる」と彼女は言う。「教育を受けていない農民は、生物多様性、生息地、絶滅危惧種、より大きな生態系における役割といったものを理解できないかもしれない。しかし、ケニアの人々の多くはキリスト教徒であり、ロシャ・ケニアは、信仰に基づいた、とてもシンプルで分かりやすい自然保護のメッセージを明確に伝えることができ、それは人々にとっても意味があり、より人々を動機づける形で心に響いたのだと思う」

(翻訳協力=中山信之)

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