【東アジアのリアル】 韓国教会と気候危機 李 相勲 2022年2月11日

 今日における世界の関心事の一つは、温暖化などによって生じている気候危機の問題であろう。新型コロナウイルスもこの気候危機と関連があると考えられており、私たち人間に対する警告であるとも受け止められている。昨年開催された国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)に、日本でも多くの関心が集まっていたことは記憶に新しい。COP26では、CO2の排出量を2050年までにゼロとすることが目標として設定された。世界は今、脱炭素社会の実現に向けて動き出している。

 このような世界的な流れがある中、韓国教会は気候危機に対してどのような取り組みを実践しているのであろうか。

 韓国基督教教会協議会(NCCK)の生命文化委員会は、今年に入ってキリスト教気候危機神学フォーラムやキリスト教環境運動連帯と協力し、『韓国教会2050カーボンニュートラルのためのエコ教会マニュアル』を刊行している。同マニュアルは、環境問題に取り組んできた牧会者や神学者が作成したものであり、礼拝・教育・宣教という三つの分野別にさまざまな実践項目や方法が提示されている。NCCKはその他、キリスト教環境運動連帯と共に環境問題に取り組む「緑の教会」を韓国教会内に広げるための活動も展開している。

 各個教会は、どのような活動を展開しているのか。例えば、セシン教会(ソウル市陽川区)は、2020年に教会堂の改装を行い、建物の壁3面にソーラーパネルを設置している。このパネルを通して発電される1年間の電力は、木を4000本植えるのと同等の効果があるという。

ソーラーパネルを壁に設置したセシン教会(写真提供=同教会)

 また、昨年緑の教会に認定されたセロム教会(全羅南道海南郡)は、地域内に置かれた回収ボックスを通して集められた服などのリサイクル商品を廉価で販売する「緑の店」を運営し、その売り上げをフードバンクなどの地域宣教の運営費に当てている。

 その他、信徒らが地域住民とサークルを組織し、環境に優しい石鹸作りなどを行っている教会もある。

 個教会だけでなく、教団レベルの動きもある。韓国の代表的な教団の一つである大韓イエス教長老会(統合)は、昨年10月に開催された総会において、気候危機委員会を新設することを決定した。同委員会は、キリスト者が気候危機について正確な認識を持ち、日常生活の中で脱炭素化に向けた活動を実践することができるようさまざまな取り組みを進めていくとしている。同教団以外にも基督教大韓監理会や韓国基督教長老会といった教団に、環境問題に取り組むための同様の組織がすでに存在している。これらのことから、気候危機の問題に取り組む活動の重要性が韓国教会にいかに浸透しているかをうかがい知ることができるであろう。

 キリスト教環境運動連帯事務総長のイ・ジニョン牧師は、韓国のキリスト教系テレビ局CBSとのインタビューの中で、創世記1章に触れつつ「神が人間に与えた使命は被造世界を守ることであり、気候問題は単なる社会的問題ではなく信仰の問題である」と語っている。また、気候危機の問題は、国家レベルだけでなく、一人ひとりのキリスト者および教会が地域社会内においてどのように新しい生命の文化をつくっていくのかが問われた問題であるとしている。

 このことはもちろん、日本の教会が同様に問われるべき問題でもあろう。

李 相勲
 い・さんふん 1972年京都生まれの在日コリアン3世。ニューヨーク・ユニオン神学校修士課程および延世大学博士課程修了、博士(神学)。在日大韓基督教会総会事務局幹事などを経て、現在、関西学院大学経済学部教員。専門は宣教学。

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