【夕暮れに、なお光あり】 葛藤しつつも三つ編みの糸として 細川勝利 2022年2月11日

 さまざまな世代の新婚夫婦が出演するテレビ番組「新婚さんいらっしゃい」は、老若問わず幸せな結婚への憧れを抱かせる。個人事で恐縮だが92歳の義父が、義母が亡くなった後、再婚したいと言い出し、子どもたちを慌てさせたことがある。結局は再婚を諦め一件落着したが、人は何歳になっても結婚への憧れがあることを思わされた。

 育ち環境などの違いに戸惑い葛藤しつつ、歩み始めている1組の高齢新婚(再婚)さんを紹介したい。

 その夫妻は北海道白老町在住の70代夫婦、Y夫妻である。Y兄は佐賀県生まれ岐阜県育ち、高校時代に受洗。教師として働き、その間結婚し2人の子どもを授かり17年前に妻を亡くされた。その後、行政書士になり現在も現役。一方、Y姉は小樽生まれ札幌育ち。結婚したが子はいなく、15年前に夫を亡くされた。その後キリスト者となった。

 岐阜と札幌出身の2人の出会いは、Y兄が北海道への移住を願い各地を巡っていた2018年、知人宅でY姉に出会いひと目ぼれしたことがきっかけだという。翌年、晴れて結婚。しかし、結婚当初は岐阜と札幌とでは文化、習慣がまったく異なり、しかも高齢の再婚者同士ゆえ、互いの違いを受け入れるのは困難で葛藤の連続だったという。

 その中でも2人は礼拝だけは欠かさなかった。Y兄は月に数回出張をするが、出張前後でも、30キロ離れた教会の礼拝・その他集会には、たとえ危険な雪道の中でも休まず夫婦で出席した。それは「人間の心は自分の道のことに思いを巡らすが/主がその一歩を確かなものとする」(箴言16章9節)のゆえに今があることを信じているからだったという。さらにY兄は重い偏頭痛を持ちながらも、教会の98歳の姉妹の送迎を担ったり、愛餐会があるとY姉の料理と共に2~3品デザートを用意する。今年からは役員の奉仕も始まったと聞く。また、牧師館の修繕にも尽力していた。

 筆者もある時、Y夫妻と共に北海道で人気のあるパークゴルフをご一緒したが、2人がプレーを助け合いながらしているその姿は実に美しかった。2人は今も葛藤しつつ「たとえ一人が襲われても/二人でこれに立ち向かう。/三つ編みの糸はたやすくは切れない」(コヘレトの言葉4章12節)を思い、「2人で助け合えることが何よりうれしい」と告白している。

 今かけがえのない人を失ったり、重い病気で苦しんでいる方々がいることと思う。このY兄姉のように人生に葛藤しつつも、主のみ手に望みを置いて日夜過ごしたいものである。

 「子たちよ、言葉や口先だけではなく、行いと真実をもって愛そうではありませんか」(ヨハネの手紙一3章18節)

 ほそかわ・しょうり 1944年香川県生まれ。少年時代いじめっこで親、教師を困らせる。東京で浪人中63年キリスト者学生会(KGK)クリスマスで信仰に。聖書神学舎卒後72年から福音教会連合浜田山キリスト、北栄キリスト、那珂湊キリスト、緑が丘福音、糸井福音、日本長老教会辰口キリスト、パリ、ウィーン、ブリュッセル、各日本語教会で牧会。自称フーテン僕使。ただ憐れみで今日に至る。著書に『落ちこぼれ牧師、奮闘す!』(PHP出版)、『人生にナイスショット』(いのちのことば社)など。

Image by Eddie K from Pixabay

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