同大は、西宮上ケ原キャンパスがウィリアム・メレル・ヴォーリズ(1880〜1964)による全体計画で建設され、大学全体としてヴォーリズ建築を学びと探求の場として受け継いでいる。また、ヴォーリズがキャンパスの設計に深い関わりを持っている。こうしたヴォーリズを通じたつながりから、研究と保存、さらには観光振興・人材育成・地域活性化などに連携して取り組むことになった。
今後は、相互に協力しながら、さまざまな分野で協働事業を進めていく。具体的な事業として、▷ヴォーリズ建築の研究と保存、▷ヴォーリズ建築を活かした地域活性化・観光振興、▷ヴォーリズを通じた教育・交流――の3項目が挙げられている。
連携協定の締結にあたり、村田治学長は次のように説明する。
「滋賀県、近江八幡市は、ヴォーリズが拠点として活躍した地です。近江八幡市には多くのヴォーリズ建築が現存しています。その建築などを通じ、地域活性化と人材育成に三者で取り組むとともに、関西学院大学としてもヴォーリズ建築の保存に積極的に取り組んでまいりたい」
建築家としては、アメリカ西海岸に見られるスパニッシュ・ミッション・スタイルの建築デザインを特徴としながら、日本人の住まいや慣習などにも配慮した建築物を数多く残した。その代表作の一つが、同大西宮上ケ原キャンパスの建築群。赤い瓦屋根とクリーム色の外壁を特徴とする「スパニッシュ・ミッション・スタイル」で統一され、その美しさは日本でも屈指の存在だ。なお、ヴォーリズがキャンパス構想の基点として中心的存在に位置づけていた時計台は、2009年に「登録有形文化財」に登録されている。