【異端・カルト110番】 新年度に注意喚起 ネット動画で若者のカルト被害防止対策 2022年4月8日

 コロナ禍で人を集めるイベントや集会がしにくい状態が続いているが、その一方で、YouTube動画を通して異端・カルト団体に勧誘されるケースが増えている。「異端・カルト110番」の記事から紹介する。

 そうした中、特に若者が影響を受けやすいYouTube動画でカルトの手口や実態を知らせ、被害防止につなげようという試みが始まっている。日本基督教団カルト問題連絡会は、救出支援者・元脱会者・大学教員の有志でインターネット上に「カルト問題SNS対策室」(https://bit.ly/3uenYwU)を開設、「知らずに受けてた?カルト勧誘!~STOP!正体や目的を隠した勧誘」と題した15分と20分の2本の動画をアップロードした。

 動画では、ツイッター、フェイスブック、インスタグラムなどSNSのフォロワーが、実は密かに勧誘を目的としたカルトだったという手口を紹介。ライン(LINE)やティックトック(TikTok)など若者がよく利用するネットメディアで「いいね」を付け、拡散をしてくれた人やコメントやダイレクトメッセージ(DM)をくれる人が「あなたをカルトのメンバーにしようと狙っているかもしれません」と、偽装勧誘の危険に警鐘を鳴らす。

 そして「破壊的カルト」とは単に怪しい団体のことではなく、金銭的・身体的・精神的に深刻な被害をもたらしたり、人権侵害と社会問題を引き起こしたりする反社会的集団であること、正体を隠して近づきマインドコントロールを使って、自分の意思で教祖を信じるようになったと思い込ませる手口などを解説している。

 マインドコントロールとは何かの例えとして、「DV彼氏が最初は優しい人を装って近づき、付き合ってから徐々に本性を見せるのと似ています」という説明は、中高生や大学生など若い人たちの経験に即して理解しやすいだろう。DV彼氏と付き合い始めた彼女は「私はダメだ」と思わされ、優しくされて、を繰り返すうち、この人がいないと生きていけないと思わされる。破壊的カルトに入った人も最初は優しく迎えられ、徐々に自分の思考ができなくされ、ここにいないと生きていけないと思わされてしまう……という警告は、勧誘にあった時に危険性に気づくことができる重要なサインだ。そして、SNSのどのような行為がカルトのターゲットにされてしまうのか、具体的な例を挙げる。

 SNSの投稿をきっかけに共通の話題で親しくなり、メッセージのやり取りをしているうちにサークルや勉強会に誘われる、というのがカルトの典型的な偽装勧誘の手法。実際に使われる勧誘のトーク例や、引き込まれてしまうプロセスなども紹介されているので気づきやすい。

 このような例は、霊感商法対策弁護士連絡会や異端・カルト110番などに寄せられる相談でも後を絶たない、カルト被害に至る定番のパターンだ。

 カルト問題SNS対策室では、YouTubeのほかに、ツイッター、フェイスブック、インスタグラムでも注意喚起を発信している。

 霊感商法対策弁護士連絡会の弁護士有志らも、高校生に向けて「ボイロで解説カルト対策」をYouTubeにアップした。ボイロとは音声合成で文章を読み上げるボイスロイド(VOICEROID)のこと。アニメのキャラクターにしゃべらせることで若者に受ける。実際の勧誘事例に基づき、最新のカルト対策を紹介。高校生が偽装勧誘に引っかからないよう、この動画を紹介してほしいと拡散を希望している。完全版は25分だが、第1部・入門編、第2部・マインドコントロール編、第3部・対策編に短くした分割版も用意している。

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