【教会では聞けない?ぶっちゃけQ&A】 喫煙は教えに反する? 白井幸子

Q.喫煙所のない教会が多く困っています。煙草を禁ずる教えがあるのでしょうか。(50代・男性)

 日本を含め多くの国で、最近喫煙者数が大幅に減少しつつあると報じられています。それは、煙草の害が近年ますます明らかになってきたことによると考えられます。

 煙草を吸う人に多い疾患は少なくとも数十知られていますが、中でも肺がん、喉頭がん、心筋梗塞、慢性閉塞性肺疾患などが重要です。煙草を1本吸うごとに約10分寿命が短くなると計算されています。煙草の害が多くの人にもっと十分に理解されていくならば、喫煙人口は今後さらに減少すると思われます。

 喫煙のもう一つの問題は、周囲の人の健康にも悪い影響を与えうる点です。受動喫煙が肺がんの原因になるとのいくつかの研究があります。また、家庭で父親が煙草を吸うと、幼児の呼吸器疾患が増すことも報告されてもいます。

 喫煙は本来は個人の嗜好の問題なのですが、実際にはそれだけではすまない現実があって、今日では人間の寿命と健康を脅かす現代の主要な要因であり、煙草を吸わないことががん予防の最有力な手段となっています。 これほどマイナスの多い煙草ですが、一度喫煙の習慣がついてしまうと、禁煙することはそれほど簡単なことではないようです。

 聖書に煙草に関する記事がないのは、当時のユダヤの地にも煙草がなかったことによるのでしょう。煙草がアメリカ大陸からヨーロッパに入ったのは15世紀のことです。

 しかし、聖書に直接禁煙の教えはなくとも、身体を余計な疾病から防ぐことは信仰と矛盾しないことでありましょう。

 禁煙は、かつてはそう容易なことではありませんでしたが、今では、禁煙を助けるさまざまな方法がありますので、その意志さえあれば禁煙は以前ほど困難な目標ではないと考えられます。教会は喫煙所を設けないことによって、結果的に、これ以上喫煙者の健康が脅かされるのを防ぐ働きをしているように思われます。

 しらい・さちこ 青山学院大学文学部を卒業後、フルブライト交換留学生として渡米。アンドヴァー・ニュートン神学校、エール大学神学部卒業。東京いのちの電話主事、国立療養所多磨全生園カウンセラー、東京医科大学付属病院でHIVカウンセリングに従事した後、ルーテル学院大学大学院教授を経て同大名誉教授。臨床心理士、米国UCC教会牧師。

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