「香港を覚えての祈祷会」書籍化 執筆者らと出版記念会 2022年7月1日

 香港で反政府活動を取り締まる「香港国家安全維持法」が施行されてから6月30日で2年となる。この間香港では、民主活動家の逮捕、民主メディアの廃刊など政治活動や言論は統制され、国際都市・香港の特長であった自由で寛容な社会は大きく変化した。そんな中、12人の牧師を中心に祈りの運動が起こされ、「香港を覚えての祈祷会」を定期的に続けてきた。今回、その祈祷会の軌跡が1冊の本『夜明けを待ちながら――香港への祈り』(教文館)となり、出版記念会(教文館主催)が6月10日、お茶の水クリスチャンセンター(東
京都千代田区)で開催された。約60人が参加した。

 同「祈祷会」は、2020年10月30日に、香港と深い関係のある松谷曄介氏(金城学院大学准教授)が発起人となり始まった。「呼びかけ人」に名を連ねたのは、教団・教派を超えた12人の牧師たち。香港の牧師や神学者ら有志による「香港牧師ネットワーク」をモデルにオンライン(Zoom会議)で開催され、自由を失う香港の人たちのためにできることを祈りつつ考える中で、定期的な祈祷会という形ができ上がっていった。

 出版記念会は2部構成で行われ、第1部では、執筆者によるパネルディスカッションが行われた。登壇したのは、平野克己(日本基督教団代田教会牧師)、星出卓也(日本長老教会西武柳沢キリスト教会牧師)、唐澤健太(カンバーランド長老教会国立のぞみ教会牧師)、伽賀由(ゆかり)(日本メノナイト教会帯広キリスト教会牧師*オンラインで参加)の各氏。松谷氏が司会を務めた。

【東京・6月10日】『夜明けを共に待ちながら――香港への祈り』出版記念会

 それぞれ、祈祷会に加わる経緯と感想を語る中で、所属する教団・教派にとらわれず、香港のために心を一つにして祈れたという思いを共有し、「空間を超えて祈りでつながるという豊かな経験」(唐澤氏)、「リモートによって、香港、アメリカ、イギリスとつながれたのは今までになかったこと」(松谷氏)、「香港のその時々の声を実際に聞くことができたのは大きな恵みだった」(伽賀氏)と述べた。

 「教会は友情の共同体」という言葉が好きだと話す平野氏は、「祈祷会」に参加し、友人のつながりができたのが嬉しかったとし、「解決があるわけではないが、一緒に嘆くことができる場所があることは幸せ」と語った。松谷氏は当初、香港の情勢を考えた時、第三者を巻き込んで安全なのかなど、祈祷会を開くこと自体に懸念もあったという。しかし、2013年から16年まで香港の神学校で学んだことを考えると「神様は、この時のために遣わせてくれたのかもしれない。香港のために自分はこれしかできないと思った」と明かす。

 これを受けて星出氏は、「最初の『祈祷会』で『負債を返したい思いがある』と言われたのが印象的だった。この祈り会が始まる前からすでに祈りがあって、12人によってさらに運動が盛り上がっていったように感じる」と話した。松谷氏は最後に、「海外に行ったら地元の教会を訪ね、現地の人たちと交流を深めるというような民間交流を大事にしていきたい」と結んだ。

 第2部では、大嶋重德氏(日本福音自由教会鳩ヶ谷福音自由教会牧師)、朝岡勝氏(東京キリスト教学園理事長・学園長)、森島豊氏(青山学院大学教授)が登壇し、「What the Pastors!!(WTP)」の公開収録が行われた。当日の模様は以下のYouTubeで公開中。

『夜明けを共に待ちながら』を執筆した12人

 

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