「セクシュアルマイノリティと宗教を考える会」が楊尚眞文書で声明 2022年7月24日

 弘前学院大学教授の楊尚眞(ヤン・サンジン)氏による講演録が神道政治連盟国会議員懇談会の席上で配られたことを受けて、「セクシュアルマイノリティと宗教を考える会」は7月23日、「楊尚眞氏の文書への批判」と題する声明を発表した。

 声明で同会は、「キリスト教がセクシュアルマイノリティ差別に加担している側面があることを反省」「憂慮」するとした上で、「これらの文章を目にしたセクシュアルマイノリティの中には、存在の根底が否定されたと感じたり、生きる希望が奪われたり、心を病んだり、場合によって、自死に至ったりする人がいるかも知れない」と危惧。さらに、「人間の性に関するアイデンティティは単純に男女のどちらかで分けて考えられるものではなく、あらゆる要素の組み合わせで成り立つ複雑で多様なものである」「それらは治療などによって恣意的に変化させられるものではなく、無理にそのようなことをすれば当人にとって非常な苦痛となり健全な生活を脅かすこととなる」という「臨床医学的見地」から、同文書内の記述について具体的に反論した。

 声明の全文(https://bit.ly/3zvrK7E)は以下の通り。


声明「楊尚眞氏の文書への批判」

 私たち「セクシュアルマイノリティと宗教を考える会」は、弘前学院大学教授の楊尚眞氏の文書を読み、以下のように考えました。

 私たちは、宗教とりわけキリスト教がセクシュアルマイノリティ差別に加担している側面があることを反省し、また憂慮しております。

 神道政治連盟機関誌「意」第215号(2021年10月)における楊氏の『同性愛と同性婚の真相を知る』、および本年6月13日の神道政治連盟国会議員懇談会にて配付されたという冊子「夫婦別姓 同性婚LGBT家族と社会に関わる諸問題」に掲載された楊氏の講演録を読みました。

 これらの文章を目にしたセクシュアルマイノリティの中には、存在の根底が否定されたと感じたり、生きる希望が奪われたり、心を病んだり、場合によって、自死に至ったりする人がいるかも知れないとわたしたちは考えます。

 『包括的性教育により性は男女だけではなく多様な性があることを主流にし、社会を性愛化した先にあるのは伝統的家族制度の解体、キリスト教等の反同性愛宗教、性規範の解体です』(講演録冊子の28頁下段)とありますが、わたしたちはそのようには考えません。伝統的家族制度の問題点は改善されるべきですし、「反同性愛宗教」やそのような「性規範」も克服されるべきだと考えます。

 楊氏が主張しておられる人間の性のあり方は、現在多くの研究者や医療者によって発見され同意されていることがらと一致するものではないとわたしたちは考えます。

 すなわち、長い年月をかけて得られた「人間の性に関するアイデンティティは単純に男女のどちらかで分けて考えられるものではなく、あらゆる要素の組み合わせで成り立つ複雑で多様なものである」、そして、「それらは治療などによって恣意的に変化させられるものではなく、無理にそのようなことをすれば当人にとって非常な苦痛となり健全な生活を脅かすこととなる」という臨床医学的見地に、わたしたちは同意し、尊重します。

 また『性的少数者のライフスタイルが正当化されるべきでないのは、家庭と社会を崩壊させる社会問題だから』(講演録冊子第29頁上段)と楊氏は述べていますが、わたしたちは性的少数者のライフスタイルは尊重されるべきであり、それが家庭や社会を崩壊させるとも、社会問題であるとも考えません。

 さらに、『LGBTの自殺リスクについては、自殺率が高いというのは、社会的な差別があることが原因かというとそうではなく、LGBTは自分自身が様々な面で葛藤を持っていることが多く、それが悩みとなり自殺につながることが考えられます』(講演録冊子第25頁下段~第26頁上段)と揚氏は述べています。

 しかし、わたしたちは、そのようには考えません。社会の差別によって自死に至る性的少数者がいるのは、残念ながら、事実です。わたしたちは、性的マイノリティ差別がいまだに社会に根付いているゆえ自らの生命を断つ多くの人々の苦しみに少しでも共感すること、そうした人々の命の尊厳を認識することが大切だと考えています。

2022年7月23日

「セクシュアルマイノリティと宗教を考える会」

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