集団結婚と霊感商法は不可分 統一協会脱会者が実態を証言 マスコミの一方的報道も批判 【再録】1992年8月8日

 有名タレントの「集団結婚式」参加表明以来のマスコミ各社の報道ぶりは、世界基督教統一神霊協会(統一協会)の実態を伝えていないとして、統一協会の元会員六人が七月二十四日、東京・永田町の衆議院第一議員会館で記者会見を開き、「集団結婚式」や「霊感商法」の実態を証言した。また、記者会見後に関かれた集会ではマスコミ各社に対して「霊感商法」や「詐欺的伝道」などの統一協会の実態を報道するように求めるアピールを採択した。

 会見に臨んだのは東北、関東、北陸、関西の出身で二十七歲から三十五蔵までの男女各三人。いずれも珍味売りや印鑑販売などの霊感商法(経済活動)を経験して八二年から八八年までに行われた集団結婚式に参加、その後統一協会を脱会している。

 このうち大学入学時に原理研究会に入会した男性(三五)は、身障者のまねをしながらボールペンを売り步く経済活動をしたと証言。

 また高校生時代に親類を通して誘われた女性(二九)は、壺や多宝塔、印鑑などを売り、霊能者の役割も果たしたと述べ、また街頭アンケートで誘われた女性(二二)は、「街頭募金の売り上げは三万円から多い時は十万円になったが、安い鉛筆けずりなどを贈って得た証明を持って募金活動をした」などといわゆる「インチキ募金」の実態を証言した。

 また、集団結婚について、女性(二九)は「祝福(集団結婚式)を通してしか救われないと言われ、希望も言えなかった」とし、别の女性(二七)は「(集団結婚式)三日前に上から連絡が入って韓国に行き、当日初めて写真を渡され対面した」と述ベた。さらに女性(三二)は「普通の結婚式で救われないからと言われ、男性であれば丸太でもいいと教えられていた。それでもどうしても相手がいやだと、会場で雲隠れしてしまう女性もいたようだ。統一協会は離婚率が一%と言うが、実際はかなり高いのではないか」と語り、男性(三五)も「祝福を受けるという最終目的のために経済活動を強いられた」などと語るなど、統一協会が言うような自由意思に基づいた結婚ではないと口々に証言した外、八八年の集団結婚式では参加者一人一人が成田空港で平均百万円入りの封筒を渡されソウルの空港では外国為替管理法に引っかかるので申告をせず、結婚式の会場入り口で封筒は回収されたことも明らかにし「自分たちは運び屋だった」とも述べた。

 今回の有名タレントの集団結婚式参加について男性(三五)は、「経済活動をしなければ祝福を受けられない統一原理の教えなのに、(経済活動をしていない山崎浩子、桜田淳子、徳田敦子三氏ら)社会的に利用できる人に対しては例外規定を設けているか、統一協会がイメージアップに使ったのだろう」とし、男性(三二)は、「祝福を受けるまでは手を触れてもいけないというのが教理。記者会見で肩を抱いたり、腕を組んだりしているのは教理に反するもので、一般を装おうとしている」と指摘した。

 最後に一連のマスコミ報道について女性(二七)は、「家族の悲しみを知り脱会した直後は、この世的な犯罪を数多くやったことに対する落胆が大きかったが、今はその恥をさらけ出してでも統一協会の誤りを伝えたい。マスコミは統一協会の実態を認識したうえで報道してほしい」と訴え、全国霊感商法対策弁連の山口広事務局長は、「集団結婚式と霊感商法は切り離せないもの。集団結婚式だけを取り上げて報道すベきでない」とマスコミ報道を批判した。

「人間性への犯罪」
浅見氏、統一協会の「犯罪性」指摘

 記者会見に続いて、日本基督教団統一原理問題連絡会、全国原理運動被害者父母の会、全国霊感商法対策弁護士連合の三団体の主催で集会が開かれ、統一協会に入会した子供たちの集団結婚式参加を心配する親ら二百人が参加した。

 まず、統一協会の問題性を理論的に指摘し続けている旧約学者の浅見定雄氏(東北学院大教授)が、「統一協会と集団結婚」と題して講演した。

 浅見氏は、統一協会の犯罪性について、①勧誘時に統一協会を名乗らない(入り口の罪)②〝のろい〟など人間の弱さを利用した洗脳(途中の罪)③過酷な労働を強いられる信者は被害者であると同時に霊感商法などによる加害者でもある(深入りさせてからの罪)――の三点を指摘したうえで、「信仰者の行為としてさせている点で、統一協会の犯罪は偶発的でなく本質的だ」と断じた。

 次に集団結婚について浅見氏は、①集団結婚が犯罪行為ヘのエサとなっている②教理の根幹にかかわる集団結婚を統一協会信者はしなければならないし、またしない自由はない③教祖の指名による四年から六年に一度の集団結婚以外には、両性の合意によっても決して結婚できないし恋愛もできない――などとし、「集団結婚は人間性への犯罪だ」と指摘した。

 そのうえで浅見氏は、「問題は統一協会の犯罪性であり、三女王(桜田、山崎、徳田氏)の結婚式とこれを切り離してはいけない」と訴え、さらに「前回(八八年)の集団結婚式参加者が犯罪の事実(外為法違反)を告白しているのだから、今年八月二十五日の集団結婚式参加者に対して日本政府はしっかり対応すベき」だとも指摘している。

 また統一協会からの「救出活動」に取り組んでいる川崎経子氏(日基教団谷村教会牧師)は参加した親らを「親があきらめずに命がけで説得すれば救出することができる」と励ました。

 最後に採択したアピールでは、「統一協会の実態を伝えることなく、誤ったイメージを宣伝することにもなる」報道が続けられるならば、「新たな犠牲者の増大を招くことは必至」だとして、マスコミ名社に対して統一協会の実態を報道するよう求めている。

 アピールの全文は以下の通り。


マスコミ各社へのアピール

 新体操の元全日本チャンピオンである山崎浩子氏が、世界基督教統一神霊協会の主催する、いわゆる「集団結婚式」に参加するという事実が判明して以来、マスコミ各社の報道振りは、その実態を克明に知る我々からみれば、まったくの一面的報道内容であると言わざるを得ません。一部の報道を除いて、文字通り「合同結婚式」礼賛と興味本位の詮索(せんさく)に終始しています。反社会的行為を繰り返し、霊感商法や詐欺的伝道のために多くの被害者を生み出してきている統一協会の実態を伝えることなく、誤ったイメージを宣伝することにもなっています。しかし、今回の一連の報道の偏向は、統一協会が意図的に都合のよい情報のみをリークし、マスコミを操作しているととられかねないものです。

 このような、偏った報道が今後も続けられていくとすれば、何も知らない青年男女の中にいたずらに幻想を振りまき、新たな犠牲者の増大を招くことは必至です。同時に、統一協会が行っている「霊感商法」や「インチキ募金」・詐欺的伝道などの犯罪行為を助長する風潮を醸成することになりかねません。更に、マスコミ各社が統一協会の情報宣伝活動に利用されているとすれば、それは、ジャーナリズム本来の公共的使命や報道倫理から逸脱し、さらには、反社会的集団である統一協会の犯罪的行為に間接的に手を貸すことになります。

 我々は、元信者やその家族の悲痛な叫びを聞いて、これを座視しがたく、統一協会およびその系列下の企業群で働く若者達の非人間的な活動状況や労働実態を怒りを込めて告発しつづけています。マスコミ各社が、こうした統一協会の実態を報道されることを願ってやみません。言論・報道の自由の名において、今後とも偏った報道が継続されれば、「宗教」の名による重大な社会的混乱が拡大することを憂慮し、ここに要請するものです。

一九九二年七月二十四日

全国原理運動被害者父母の会
日本基督教団統一原理問題全国連絡会
全国霊感商法対策弁連

「霊感商法」「集団結婚式」の実態などついて証言した統一協会脱会者ら=1992年7月24日、衆議院第一議員会館で

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