【教会では聞けない?ぶっちゃけQ&A】 相談内容を役員と共有したい 平山正実

Q.教会員の個人的相談内容を役員と共有したいのですが、プライバシーに配慮する必要もあり、悩んでいます。(30代・牧師)

 牧会者の守秘義務に関する質問だと思われます。まず、日本の法律や臨床心理士が参加する関連団体が、この点についてどのように考えているか記してみます。

 刑法134条(秘密漏示)によれば、医師、医薬品販売業者、助産婦、弁護士、弁護人、公証人またはこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、処罰されることになっています。

 他方、刑事訴訟法237条(告発)では、何人でも犯罪があると思料するときは、告発することができると記されています。さらに、臨床心理士倫理綱領には、臨床業務従事中に知り得た事項に関しては、専門家としての判断のもとに必要と認めた以外の内容を他に漏らしてはならないと記されています。

 このような守秘義務に関する法律や規範は、牧会者や教会役員や信徒との関係について直接言及したものではありませんが、参考にはなると思われます。つまり、人々の心身の健康や権利を守る立場にある者は、基本的には、相談者の相談内容に関する守秘義務を守る責任があると言えるでしょう。しかし、相談者が自殺の危険性がある場合や他人の生命、財産、名誉を傷つける可能性があるときは、この限りではないことがこれらの条文や綱領から示唆されています。

 守秘義務に関するこうした一連の流れを考慮するならば、牧会者は原則として、信徒の相談内容を秘匿すべきであると考えます。もし、牧会者が役員と信徒の個人的相談内容を共有したいと思うときには、その旨を信徒に告知し同意を得るべきです。そして、牧会者と役員と信徒との間で信頼関係が成立しており、信徒の自発的意思で最善の道を模索すべく、牧会者と役員が話し合ったり、三者で神に祈り合うことを求めた場合に限り、他に口外しないことを条件に、牧会者が役員に知り得た秘密を打ち明けるといった行為は、許されると考えます。

 ひらやま・まさみ 1938年、東京生まれ。横浜市立大学医学部卒業。東洋英和女学院大学教員を経て、聖学院大学子ども心理学科、同大大学院教授、医療法人財団シロアム会北千住旭クリニック理事長・院長、NPO法人「グリーフ・ケア サポート・プラザ」(自死遺族支援)特別顧問を歴任。精神保健指定医。著書に『精神科医からみた聖書の人間像』(教文館)、共著に『イノチを支える-癒しと救いを求めて』(キリスト新聞社)など。2013年、75歳で逝去。

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