キリスト教功労者顕彰式は、キリスト教文化に関わる教育・福祉・医療・社会事業・文化活動などの分野で貢献した人を顕彰することによって、さらなる活動と研究を促し、キリスト教文化をとおして、隣人を愛し、思いやりのある文化の醸成を図ることを目的に毎年開催されている。選考の対象となるのは、キリスト教関係の事業や思想の普及に功労のあった75歳以上のキリスト者で、今回は、減退が懸念される教会の伝道力に希望の道筋を示す両氏が選ばれた。
顕彰式は礼拝形式で行われ、日本キリスト教文化協会理事長である大島力氏があいさつに立った。同氏は、伝道の障壁を乗り越えるためにあらゆることすることは、最初からイエス・キリストが命じ、パウロが実践してきたことであると語った上で、顕彰された両氏も、福音を届けづらい人たちのために書籍・出版、ラジオというメディアを用いてキリスト教伝道に貢献してきたことを伝えた。
また、コロナ禍により教会に集まることができなくなる中、オンライン礼拝といったインターネットによるメディアが著しい活躍を見せた。その一方で、注文すれば届く書籍、毎週届くラジオの放送もコロナ禍の中においてインターネットと同じ働きをしてきたと強調。
「コロナ禍がいまだに終息しない2022年に、コロナ禍のはるか前より文書伝道・放送伝道の働きをされてきた2人に、キリスト教会が注目することは重要なこと。私たちもその働きにいろいろなかたちで連なっていく、そういう励ましをいただきたい」と語った。
授賞を受けて小島氏は、日本基督教団議長として務めてきた6年間を振り、自身の思いを助け支えてくれた人がいたから走り続けることができたと謝意を述べ、「たいへんではなかったと言えないが、面白かった。戦っているという爽快感があった。仲間と一緒によくやったなという思いがあります」と回顧。さらに、各個教会の伝道の機運を高めたいという思いから有志で日本伝道会を立ち上げたことにも触れた。ここでも気持ちの熱い人たちに背中を押されながら代表に就任したことや、伝道の大切さを各地の教会に説いてまわったことを楽しい思い出として語った。
続いて吉崎氏は、今年で日本語放送開始70周年となる日本FEBCの働きについて紹介。FEBCが最も大事にしていることは主イエス・キリストが中心であることで、リスナーから「FEBCは牧会をしているのですね」と言われたことが嬉しかったと話す。また、自分の仕事は、主イエスに聞き、リスナーに聞くことで、ラジオ終了後「聞いてもらった」とリスナーに思ってもらえることだという。千差万別の課題を抱えるリスナー一人ひとりが主イエスに出会うことを何よりも願っていると力を込め、「50年以上ただ楽しくてやめられず、神様が許してここまで来させてくれました。スタッフに感謝したい」と結んだ。
顕彰式の後、第2部では、小島氏と吉崎氏をよく知る吉岡光人(日本基督教団吉祥寺教会牧師)、小友聡(日本基督教団中村町教会牧師)、加藤常昭(日本基督教団引退教師)、江藤直純(日本福音ルーテル教会員引退牧師)の各氏が登壇し、それぞれの人となりや、数々の思い出を織り交ぜながら、お祝いの言葉を贈った。