【夕暮れに、なお光あり】 新しい歌「ミルク世 チュクラナ ウチスリティ」の誕生物語 島 しづ子 2022年12月1日

 2022年10月24日は「うふざと教会」のメンバーであるKさんが10歳になった誕生日でした。Kさん親子は毎週月曜日夕方6時から「普天間基地ゲート前でゴスペルを歌う会」(以下「ゴスペルを歌う会」)に参加しています。

 その日は「ゴスペルを歌う会」開始10周年の記念日でもありました。同時刻、東京で「官邸前でゴスペルを歌う会」が開かれていました。官邸前と普天間基地ゲート前が電話でつながりました。「官邸前ゴスペル」でお祈りしたのが平良愛香牧師でした。普天間基地ゲート前では10歳になったKさんが「ミルク世 チュクラナ ウチスリティ」を歌いました。ミルク世を漢字にすると「弥勒世」となります。沖縄ではミルク世とは「平和の世」を意味します。「ミルク世 チュクラナ ウチスリティ」を作詞作曲したのは平良愛香牧師です。歌のサブタイトルには「2000年 日本YWCA憲法研究会テーマソング」とあります。2000年に日本YWCA憲法研究会が沖縄で開催されることになった時、YWCA会員であった大城美代子さんが「うちなーぐち」でタイトルを付けたいと提案し承認されたそうです。テーマソングも作りましょうと平良牧師に依頼したそうです。

 2020年6月ごろ、平良愛香牧師がご両親の平良修・悦美夫妻と一緒にうふざと教会に来られ、Kさんご家族もうふざと教会に集まりました。Kさんたちは歌の作者に会えて緊張しながら、平良牧師の伴奏でこの歌を歌いました。

 「ゴスペルを歌う会」は2012年10月から普天間基地の野嵩(のだけ)ゲート前に集い、軍事基地がすべてなくなる日を望みつつ、夕方6時~7時、ゴスペルを歌い祈り続けています。「ミルク世 チュクラナ ウチスリティ」の2番の歌詞にこうあります。

どんなに遠く思えても 必ずその日は来る どんなに遠く思えても いまその日は近づいてる
どんなに難しく思えても 必ずその日はなる どんなに難しく思えても いまその日は近づいてる
泣く者と共に泣き 喜ぶ者と共によろこぼう さまたげるものはない
ミルク世 チュクラナ ウチスリティ 泣く者と共に泣き 喜ぶ者と共によろこぼう
新しい世界が生れる ミルク世 チュクラナ ウチスリティ

 歌の誕生から22年。70代の大城美代子さん、50代の平良愛香牧師、10代のKさんたち兄弟に受け継がれている「ミルク世」への思いに、詩編149編1節「ハレルヤ。主に新しい歌を歌え。忠実な人々の集いで賛美の歌を」をかみしめています。

 しま・しづこ 1948年長野県生まれ。農村伝道神学校卒業。2009年度愛知県弁護士会人権賞受賞。日本基督教団うふざと伝道所牧師。著書に『あたたかいまなざし――イエスに出会った女性達』『イエスのまなざし――福音は地の果てまで』『尊敬のまなざし』(いずれも燦葉出版社)。

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