中東について私たちが学び直すべきこと 2023年1月23日

 ある関心深い寄付者がリリアン・サマーン氏に、中東でのミニストリーとはどのようなものかと質問すると、彼女は、ヨルダンのマンサフ、シリアのキッベ、イラクのドルマなどのおいしい食事をとりながら説明を始める。「クリスチャニティー・トゥデイ」の記事から紹介する。

 ヨルダン生まれのサマーン氏は、古くイエスや初代教会の時代から、中東の文化にはもてなしと食物が不可欠であり、それは人間関係を築き、愛を表現する方法であると言う。「その地域を理解するための基本的な方法は、その地域の人々と親しくなること」。そうすることでのみ「彼らの文脈(背景)、痛み、抑圧、苦しみ、喜びを本当に認識する」ことができるのだと彼女は主張する。

 文脈(背景)、痛み、抑圧、苦しみ、喜び―これらの考え方は、多くの中東の人々にとって人生とはどのようなものかの絵図を提供している。中東についての理解がニュースによって大きく形作られてしまう欧米人に対し、サマーン氏は「教育されない」ようにすることを勧める。

 「人々の物語に耳を傾けてみてほしい」とサマーン氏。それらの物語は、中東の歴史-部族、激動、教会、聖書、そしてこの地域に注がれる神の深い愛との強い個人的なつながりを特徴づけているように思われる。実際、どのようなミニストリーでも中東でインパクトを持とうとすれば、この土地の大きな苦しみと歴史、そして人々の驚くべき温かさと開放性を考慮する必要がある。

悲しみを知る

 マイク・アンサリ氏が率いる組織Heart4Iranは、このような苦しみの物語に一つの出口を提供している。イランのシラーズで世俗的なイスラム教徒の家庭に生まれたアンサリ氏は、イランイスラム革命が彼の国を震撼させ世界に衝撃を与えた時わずか7歳だった。12歳の従兄弟がイスラム政権に殺されるのを目の当たりにし、彼は革命の影響を最大限感じた。

 現在、アンサリ氏は365日24時間放送のペルシャ語衛星放送局「モハバットTV」を監督し、メンタルヘルスや結婚、霊的戦いや迫害など、イランの視聴者に関連する多くのトピックを取り上げている。モハバットTVの総合的なアプローチは、イランに強いインパクトを与えている。このテレビ局は、イランの人口の約5分の1に相当する1600万人の視聴者を見込んでおり、メディア部門は毎日約700人のコンタクトを処理し、そのうち90人以上がキリストに傾倒している。

 中東の人々は、悲しみを経験した人たちとともにそれを処理することを望んでいる。Vision Communication Internationalは、このニーズに応えるため、中東と北アフリカのアラビア語圏の人々を対象に、彼らのストーリーを福音のストーリーに直接結びつけるソーシャルメディア・コンテンツを制作している。また、モハバットTVの番組では、ジーザス・フィルムを視聴することで、視聴者が自分自身の苦しみや恐れ、悲しみを、「苦しみの人、痛みに親しい人」(イザヤ書53章3節)であるイエスにつなげることができるよう支援している。

温かく迎え入れる

 しかし、中東の痛みは深刻だが、中東の温かさ、優しさ、福音への渇望を弱めるものではない。実際、これらは共に見られることが多い。「苦しみが私たちを生かしている」とサマーン氏は言う。「私たちは苦しみから守られたいとは思わない。なぜなら、それにより、私たちは、相互変容するやり方で神を体験することができるからだ」

 悲しみに直面したとき、中東の人々の癒しは、しばしば安全なコミュニティの共生の中に見出される。弟子化、人格形成、教会形成を目的とした相互変容の関係は、成功し持続可能なミニストリーの表現となる。イスラム教徒の中での伝道活動では、イエスが体現した価値観である「もてなし」の精神を認識しそれに報いることが、福音を伝え、真の弟子となる道を開くのである。

 サマーン氏は、中東の友人の多くが「自分たちには時間があるが、西洋人には予定がある」と皮肉を話すという。中東の人々をよりよく理解し、福音を伝えようとするのであれば、腕時計をしまっておくことは必須である。

 難民支援活動では、特にトラウマの後遺症がある場合、温かく迎え入れ、長い間座っていることを厭わないことが重要だ。中東は大規模な移住の危機に直面しており、この悲劇は、キリストの名においてもてなしと思いやりを体現する組織とボランティアをより多く招き入れるものだ。イラク北部のザクホ市では、ヤジディ教徒(イラクの民族宗教)の難民にアートセラピーのプログラムを提供している。言いようのない恐怖を目の当たりにした10代の少女たちは、面前で活動するキリスト教関係者とともに何時間も過ごしながら、創造的に自分を表現することができるようになった。

意義のある奉仕活動

 「神の御業は中東で始まった。今日まで、この地域は世界で最も価値のある王国の不動産だ」と、ストラテジック・リソース・グループ(SRG)の創設者であるポール・シュルタイス氏は言う。そこで、サマーン氏は、SRGのヨルダンとレバノンミニストリーのファンドについてコンサルティングを行っている。SRGは王国の投資家のグローバルネットワークであり、世界各地に赴くという使命を真剣に受け止め、情報、文化的感受性、長期的な関係を構築する覚悟を持ってそれを行っている。

 何がミニストリーを効果的にするか―そしてその定義がどのように文脈の中で全体としてまた完全に根ざしているか―を理解することは、執事職にとって不可欠な要素だ。SRGは、毎年行われるミニストリー評価旅行を通じて、新しいリソースパートナーに、その地域とそこに住む人々により近い距離で旅をすることを勧めている。「あなたは知るために行かなければならない」とシュルタイス氏は言う。中東は収穫の時期を迎えており、そのためミニストリーの能力、文化的背景、ミニストリーの傾向などを理解する不断の努力がまさに不可欠なのだ。

(翻訳協力=中山信之)

Image by Hands off my tags! Michael Gaida from Pixabay

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