【栃木・~4月16日】「二つの教会をめぐる石の物語」宇都宮美術館開館25周年記念展

 カトリック松が峰教会聖堂と、日本聖公会・宇都宮聖ヨハネ教会礼拝堂。栃木県宇都宮市内にたつ、いずれも関東大震災後の復興ムードのなか聖別された教会建物をめぐる展覧会《二つの教会をめぐる石の物語》が開催されている。展覧会ではあわせてキリスト教的世界観における教会建物の位置づけや、日本におけるキリスト教会建築の流れも概観され、キリスト教と日本近代、さらには宗教と建築をめぐり多くの考えるヒントを得る機会となるだろう。 

 まず興味深いのは、ともに地元栃木県宇都宮市の名産である大谷石を建材とし、築90年を迎えるほぼ同時期の竣工ながらも、二つの教会堂は幾つかの点で際立つコントラストを描いている点だ。たとえば聖別1932(昭和7)年のカトリック松が峰教会聖堂の設計が、いわゆる「お雇い外国人」の系譜に属するチューリッヒ出身の建築家マックス・ヒンデルであるのに対し、聖別1933(昭和8)年の日本聖公会・宇都宮聖ヨハネ教会礼拝堂は専ら日本国内の現場や建築事務所で知識技術を学んだ信徒建築家・上林敬吉の設計による。

 また建築様式としても、優美なロマネスク様式を主調とするカトリック松が峰教会聖堂と、がっしりとして質実な厳粛さをもつゴシック調の宇都宮聖ヨハネ教会礼拝堂とが具える鋭い対照性は、日本における教会建築の受容と展開の歴史を遡行するうえでまたとない比較例となっている。この「同時期竣工」「同建材使用」でありながら両者に具わる対照性こそ《二つの教会をめぐる石の物語》の肝であり、一方にはヒンデルがロマネスク様式を選びとる過程の底に日本社会のカトリック受容史とも結びつく感性的な文脈の気配が感じとれ、かたや「ゴシック・リヴァイヴァルという伝統」とでも言うべき聖公会建築ならではの思潮的変遷が読みとれる。 

 いずれの教会堂も宇都宮市街にあり、市郊外の宇都宮美術館と併せ日帰りでめぐることも可能である。春の兆しを垣間見ることの次第に増えるこの時季、すこし遠出してみるのも良いだろう。

■特設サイト https://church2023.jp/

■会  期 2023年2月19日(日)~4月16日(日)

■開館時間 9時半~17時(入館は16時半まで)

■休館日  毎週月曜日(祝日の場合は開館し、翌日休館)、3月22日(水)

■観覧料  企画展またはコレクション展のチケットにてご覧いただけます。
 [コレクション展料金]
 ・一般 310円(250円)
 ・大学生・高校生 210円(160円)
 ・中学生・小学生 100円(80円)
  ()内は20名以上の団体料金

*身体障がい者手帳、療育手帳、精神障がい者保健福祉手帳の交付を受けている方とその介護者(1名)は無料。

*宇都宮市在学または在住の高校生以下は無料。宮っ子の誓いカードまたは学生証をご提示ください。

*毎月第3日曜日(2月19日、3月19日、4月16日)は「家庭の日」です。高校生以下の方を含むご家族で来館された場合、企画展観覧料が一般・大学生は半額、高校生以下は無料。

*4月1日(土)「市民の日」は、宇都宮市民の方は無料。ご来館の際は住所が確認できる身分証明書をご提示ください。

■主  催 宇都宮美術館、下野新聞社

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