【信教の自由を守る日】 北海道・櫻井義秀氏が講演 「統一協会問題、法律では解決不可能」 2023年3月11日

 「第46回紀元節復活反対2・11道民集会」(靖国神社国営化阻止道民連絡会議主催)が2月11日、ホテルライフォート札幌(札幌市中央区)を会場に、対面とオンラインによるハイブリットで開催された。延べ200人が参加した。

 同集会は1966年、「紀元節」にあたる2月11日を「建国記念の日」と制定したことに危機感をおぼえ、国民の主権を守るため69年から開かれてきた。3年ぶりの対面開催となった今回は、宗教社会学者の櫻井義秀氏(北海道大学教授)が、「統一教会問題と日本の保守政党――日本・伝統・家父長制にすがりつく名ばかりの保守」と題して講演。昨年7月に起きた安倍晋三元首相銃撃事件によって大きくクローズアップされた統一協会問題に焦点を当て、日本の政治の動きに宗教がどのように関わっているか、特に自民党と統一協会との関係について解説した。

 統一協会のフロント団体である国際勝共連合は、戦後日本における政教関係の「ステルス(隠密)型 」に当たる。国際勝共連合は、東西冷戦時代に反共主義を掲げて結成され、反共という共通の目的で自民党とのつながりを深めた。ベルリンの壁崩壊後は、教育基本法の改正や、LGBTQに関する条例法案などで自民党の「御用聞き」としてその関係を築いてきた。さらに、国際勝共連合から派生した団体と関係を持ち、さまざまな選挙的な支援を受けながら、関係を持ち続けてきたのではないかと指摘する。

 櫻井氏は日本が抱える問題として、「宗教化する政治・政策への欠如」を挙げ、岸田内閣が打ち出す「異次元の少子化対策」など、言葉のレトリックで国民に幻想を抱かせ、社会を劇的に変えようとする政府のやり方に疑問を投げかけた。「リアルな認識で現実的に考えることをしなければ、家庭の教育力の低下を根拠とする家庭教育支援法案のような、社会の現実にまったくそぐわない法律が、統一協会の後押しで成立する恐れがある」

 櫻井氏は2010年、『統一教会――日本宣教の戦略と韓日祝福』(北海道大学出版会)を出版。当時、社会化する教団への対処として、学者、宗教者、法曹界、マスメディア、行政、教育、それぞれの分野に向けて呼びかけたが、10年が過ぎても動きは見られないという。特に、宗教をタブー化し続け、問題の所在を明らかにしてこなかったマスメディアや、宗教法人の公益性を真剣に論議せず、事件が起こるまで何もしなかった行政の責任は重いと追及してきた。

 最後に、「統一協会問題は、法律を作って政治的なやり方で抜本的に解決することはできない。一人ひとりが団体について知り、そのアプローチからどう逃れられるか、あるいは巻き込まれる人たちをどう救えるのかを考え、少しずつ改善していくしかない。そのためには、知識、思考力、判断力を備えることが大切」と訴えた。

社会・教育一覧ページへ

社会・教育の最新記事一覧

  • 聖コレクション リアル神ゲーあります。「聖書で、遊ぼう。」聖書コレクション
  • 求人/募集/招聘