【雑誌紹介】 「敬天愛人」に込められたもの 『百万人の福音』2月号

「敬天愛人」に込められたもの

 表紙がまず目をひく。特集『西郷隆盛と聖書――「敬天愛人」の書に込められた真実』。《二〇一八年のNHK大河ドラマは西郷隆盛が主人公。

 彼は聖書を読んでいたことが、歴史研究家の中でも定説となっている。西郷が好んで書いた「敬天愛人」の書も聖書のことばを彷彿(ほうふつ)とさせる。明治維新の立役者の新たな一面を探ってみた》とあり、これは、と思わせる。ただ新潟聖書学院院長・中村敏による『幕末・維新期のプロテスタント宣教史』以外は同誌元編集長の守部喜雅によっている。そのためか、守部がこのほど刊行した『西郷隆盛と聖書――「敬天愛人」の真実』との重複が目立つ。

 連載『この町この教会』は日本基督教団広島流川教会。《礼拝堂に入ると、正面に掲げられた真っ黒な十字架が目につく。被爆で炭化した木材を使って作られた「被爆十字架」だ。しかし戦後の制作直後から長い間、十字架は教会の片隅にしまい込まれていた。被爆体験者・遺族である信徒の心情に配慮したためで、礼拝堂に掲げられるようになったのは、原爆投下後五十年の一九九五年のことだ》。《「被爆された方々にとっては、十字架はあの日の広島そのもの。瓦礫の街や苦しむ人々の姿が、あれを見るたびに浮かぶのだと思います。ですが、『それでもあの事実を伝えていかなければ』との、当時の森澤一由(かずよし)牧師の思いあってのことでしょう」。

 そう話すのは、現牧師の向井希夫(まれお)さんだ。近年では、修学旅行などで十字架を見にくる学生も増えた。「被爆遺物を保存して掲げることによって、かつて原爆が投下された事実がより具体的になるのだと思います。広島に来る多くの方が、そういったものに出合うことで、平和についてより深く考えてくだされば」と語る》。

 《昨年、教会は創立百三十周年を迎えた。記念事業の一環として制作中の記念誌には、過去に集めた被爆時アンケートや、証言なども収められる。「被爆体験を語るということは、大きな苦痛を伴うことだと思います。信徒の方々のその思いにしっかりと向き合い、二度と悲劇を起こさないよう平和を創り出していく。当教会にとって、非常に重い責任だと感じています》と。

【本体562円+税】
【いのちのことば社】

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