【書評】 『聖♡尼さん』 露の団姫

 お坊さんバラエティ「ぶっちゃけ寺」で人気を博した尼僧の著者が、仏教に魅せられ、落語家を目指し、クリスチャンである夫との「異宗教婚」を経て子育てに奮闘するまでを描いた自伝的エッセイ。

 メディアでもたびたび取り上げられた「おしどり夫婦」だが、実は夫・大治朗さんの発達障害に悩み、「離婚したい」と願った時期もあり、決して順風満帆だったわけではない。それらの危機を克服した経緯も赤裸々につづられており、宗教だけでなく、さまざまな価値観の異なる二人が寄り添うためにも役に立つ知恵が満載。

 驚かされるのは、未だに「母性が大事」「尼さんになるより子どもを産むほうが先」「2人目はまだ?」「剃髪したら旦那が可愛そう」などという無神経な妄言が浴びせられているという事実。無論、教会もそうした「保守的オトコ社会」と無縁ではない。そんな逆境にもめげず、絶妙なユーモアでさらりと笑いに変えてしまうあたりはさすが落語家。

 言葉上の表面的な「宗教間対話」ではなく、互いに尊重し合うという生き方を実践する二人から問われるのは、共生の難しさとその本質的な課題だ。牧師もお坊さんも、クリスチャンも仏教徒も必読の1冊。

 帯には、本書を手に取り「私達の同居生活のコツがこの一冊に…!!」と震える立川在住のイエスとブッダの姿も!

【本体1,400円+税】
【春秋社】978-4-3934-3651-6

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