【既刊再読 改めて読みたいこの1冊】 『古代キリスト教思想家の世界 教父学序説』 小高毅

『古代キリスト教思想家の世界 教父学序説』(創文社、1984年)
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 小高毅は、日本を代表する神学者であり、教父学の碩学である。教派を問わず、国内の神学校出身ならば彼の著作に世話にならなかった者はいない。創文社より刊行された、オリゲネス翻訳『諸原理について』『雅歌注解・講話』、またアタナシオス/ディデュモス『聖霊論』などを日本語読者に届け、『原典古代キリスト教思想史』(教文館、 1999-2001)などを上梓したことは、日本キリスト教史に浸潤する豊かな地下水脈である。今後も教会を支え、日本語キリスト者の伴侶となるだろう。

 ペトロ・ネメシェギ神父は評していう。「本書の特別な価値は、まさに、この愛に満ちた親近感にある。日本の読者は、本書において提示された八つの道を散歩しつつ、古代キリスト教の森の魅力を十分に感じるようになるに違いない」。すなわち、本書は八章立てで、聖書、伝承、哲学、異端、神学と教父の関係を描き、司牧者、信仰の人として教父を浮き彫りにする。

 「一頃、盛んに『原点』に帰れと叫ばれた。残念ながら、その叫びも『無関心・無感動・無気力』という、いわゆる『三無』の世代に至って、いつしか影をひそめてしまった観を受ける。……第二バチカン公会議が、『原点に帰る』ことをかかげたことも、この自覚の上に立ってのことと言えよう」

 このように始まる本書は、教父たちの核として「祈り」を指摘する。「そこに、教父たちの燃えるような信仰・希望・愛を見出すことができる。祈りこそ、彼らの糧であり、三位の神との交わりの場であった。祈りなしに、教父は教父たりえなかった。そこに、彼らの真情の発露があり、彼らの思索の結晶がある。そこに彼らの涙があり、うめきがあり、喜びがあり、希望がある。そこに、まさに信仰に生きた人としての教父を見出すことができるのである」

 混迷きわめる現代だからこそ、古代教父たちが見つめる原点へ帰るために再読したい1冊だ。

【本体2,500円+税】
【創土社】978-4423300787

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