【書評】 『いのちの水』 トム・ハーパー 作/中村吉基 訳/望月麻生 絵

 カナダ聖公会司祭で神学者だったハーパーの著作『FOR CHRIST’S SAKE』(1986年)序文の寓話を、絵本にまとめた珠玉の1冊。著者没年に発行された。

 「人」を置き去りにした宗教儀式や「神学論争」など、キリスト教が普遍的に抱える問題が短い物語の中に示されている。そもそもキリスト教は誰のものかという前提を守り続けることが、いかに難しいか考えさせられる。「人」を忘れ去ることは「神」を忘れ去ることだとも。

 「決まって人々の眼は涙で覆われるのだった」という末路を避けるために、キリスト者一人ひとりが壁を壊す必要を思う。すべての教会で長く読み継がれてほしい。

 牧師でもある望月さんの、150に上る消しゴムハンコとパステルを使った挿絵も美しい。

【本体1,500円+税】
【新教出版社】978-4-400-62774-6

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