【書評】 『天国で神様に会う前に済ませておくとよい8つのこと』 田頭真一

 日本では「年を取るほど不幸と感じる人が多い」のに対し、欧米では「年を取るほど幸せを感じる人が増える」との調査がある。老人大国になったわが国で、老いは「避けたいもの」と捉えられているが、「わくわくするもの」「待ち遠しいもの」であるはずであり、黄金期ならぬ「老金期(ろうごんき)」である。そう説く著者は、父が創業した那覇オリブ山病院で理事長を務める読谷バプテスト伝道所牧師。

 競争が社会システムの中に組み込まれた現実の中で、若い時には、社会から強いられる競争や利害関係、この世での評価やそのための気づかいにストレスも蓄積していく。老年期に入るほどそれらのことから解放され、さまざまな経験を通して「丸く」成熟し、味わいのある風味を醸し出すことができるようになる。「だからこそできること」が増えると本書は語りかける。世にいう「アンチエイジング」で老いることに抵抗するよりも、「老金期」を活かすことを勧めるのだ。

 「老金期」を活かし、生きるのがもっと楽しくなるために、著者は「他人のものさしを捨てて自分だけのパワーを得る」「自分から謝って『和解』する」「人生の収穫期に何を伝えるかを考える」などの必修科目を心がけるよう事例を紹介しつつ説明する。重要な示唆は、どんな人にも、どんな環境であっても、それぞれに大切な役割があるということ、そしてよい気づきがあれば今日からそれを始めるのに遅くないということ、そして「今」という時間の貴重さである。

 死に向き合って意識が深まる、と著者は言う。どんな人も老いの坂を上り切りゴールへと向かう。そのゴールこそ、神さまに出会う天国だと信じることによって、老いは真に「老金期」になっていくのである。

 老いの積極的な意義を見つけ、人生を豊かに歩むために読む本。

【本体1,400円+税】
【東邦出版】978-4-8094-1564-7

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