【書評】 『わが神、わが神 受難と復活の説教』  加藤常昭 編

 海老名彈正、植村正久、高倉徳太郎……もはや「歴史上の人物」とも言える牧師や、いまだ記憶に新しい竹森満佐一、北森嘉蔵らによって述べられた15篇の説教集。説教の主題を十字架と復活に絞り、2018年の灰の水曜日を目前に出版された。レントの時にこそ読まれるべき説教集と言えるかもしれない。

 各説教ごとに当時の時代背景や説教者の人となりについて解説がなされている。それらを知ることで、文字にされた説教も近しく響いてくる。

 匿名で発信され、語る「人」が見えてこない言葉があふれる昨今、神の言葉が「あなたからわたしへ」「わたしからあなたへ」と伝え続けられてきた説教という営みを、稀有な恵みとして受け取りたい。

【本体2,500円+税】
【日本キリスト教団出版局】978-4-8184-0996-5

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