【雑誌紹介】 マルクス主義とキリスト教 『福音と世界 』5月号

 特集「マルクス主義とキリスト教――マルクス生誕200年に考える」。巻頭に≪思いがけず、マルクス生誕二〇〇年の記念の年に本誌に寄稿する機会を得ましたので、マルクス、エンゲルスの宗教観について紹介させていただきたいと思います≫と共産党常任幹部会委員・社会科学研究所長の不破哲三。

 《マルクス、エンゲルスは、唯物論者として宗教批判の多くの文章を書きましたが、歴史家としては、人間社会の精神生活における宗教の役割をきわめて高く評価しました。そして政治家としては、彼らが、宗教の問題で、民主主義の基本原則として要求したのはただ一つ、「信仰の自由」の確立、宗教に対する国家の支配や介入の廃止でした》と。

 資本主義社会と宗教の問題についてマルクスの分析と、社会活動「救世軍」へのエンゲルスの高い評価を紹介して、《現代では、宗教者の社会活動は、より広い範囲にひろがっています。かつて第二次世界大戦中、ヒトラー・ドイツに占領されたフランスで、ある宗教者が「神を信じる者も信じない者も」という声を上げ、それが反ファシズム・レジスタンスの共通の団体の精神となった、という国際的経験がありました》と言う。

 そして不破は≪人間社会がいま直面しているさまざまな問題に対して、多くの宗教者や宗教団体が声を上げ、平和と民主主義を守る社会運動の重要な一翼をにないつつあります≫と。

 「オオカミ復活と農村伝道」について日本基督教団愛川伝道所牧師、日本オオカミ協会顧問の星野正興が、農業を大きく脅かす獣害について、≪オオカミがいた明治時代や江戸時代には獣害というものはなかった。獣害という言葉は、オオカミが絶滅した(させられた)後に生まれた言葉なのだ≫と指摘する。《「農村伝道」という言葉は、その始まりにおいては、教会の「社会的使命」を表していた。「社会的使命」とは、その当時世界に生じていた世界大恐慌による農業の大不況と、それによる農村の危機的状況に、教会として何らかの行動をとるということだった(一九二一年の「世界宣教会議」で、農村の窮乏に教会が関わることが議決され、その窮乏への関わりがRural Evangelism と呼ばれた)。 Rural Evangelismが日本に移入された時に、「農村伝道」と訳され、教会の専門用語になった》と星野。

 ≪農山村の荒廃と農業・林業に従事する者の絶望を何とかせねばならない。これはまた国土保全に関する具体的な話でもある。また食糧生産の危機に関する話でもある。その具体的な課題のひとつが「オオカミ復活」なのだ。だからこの運動も宣教の課題となりうるだろう≫という。

【本体586円+税】
【日本キリスト教団出版局】

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