【雑誌紹介】 宗教なしで教育はできるのか 『カトリック生活』5月号

 特集『宗教なしで教育はできるのか』(後編)。『宗教文化教育の可能性』について國學院大學客員教授の井上順孝が《いのちの尊厳とか生命の畏敬ということは道徳においても一般的に言われています。でも、たとえば生命もどこまでをいのちと考えるかは宗教によって違います。……一般的な道徳というものと宗教情操というものは違うものです。一定の宗教情操教育は、宗派教育の中で行われることですから、キリスト教系や仏教系の学校が、それぞれの理念に従ってやるのは大いに賛成です。しかし、公立の学校で宗教情操教育をやる必要はないし、やれるわけがありません。ただ公立学校では宗教の知識教育は認められていることから、宗教文化教育は可能だと思います》という。

 ≪宗教文化教育は宗教情操教育とは性格が違って、伝統的宗教文化と異文化宗教の双方を理解することを目指します。単に教科書的な知識を増やして、何でも受け入れるというのではなく、何がよくて何がまずいかというアンテナを研ぎ澄ますということも含んでいます≫という井上。

 さらに《これまで宗教文化教育を推進していく中で、実はキリスト教系大学がその試み自体に、いちばん反応が鈍いです。日本のキリスト教の問題もとても強く感じました。現代はグローバル化や情報化社会となり、どんな宗教の立場の人であろうとその変化を意識しないわけにはいかないはずです。自分たちの立場に固執しているだけでは相手とコミュニケーションできません。その点でいうとキリスト教、特にカトリック教会とその系統の学校は、ほかの宗教のことは知らないという感じを受けます。宗教教育の中でほかの宗教の価値観について教えると、自分たちの教育が相対化されてしまって、効果がなくなるという恐れがあるのかなと思います。……だからといって他を遮断すると原理主義的になると思います≫と。

【本体200円+税】
【ドン・ボスコ社】

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