【書評】 『修道院の風』 原 造

 人生の中年期に信仰を持ち、修道院に入った著者によるエッセイ集。

 ルオー展では、なぜ彼の描くキリストはこうも哀しげなのかと感じ入り、装うことを思い巡らすうちに白洲次郎の親友や、スティーブ・ジョブズのファッションに人生観を見る。

 修道生活に入って間もないころに、祇園の橋の上で出会った男性に「腰を据えて座ることです」と言われた意味を改めて噛みしめ、精製されていない塩に滋味を感じた時には、「不純物」こそ我々に与えられた「賜物」ではないかと考える。

 社会生活が長かった著者の広い見識と、信仰への素直な目線が織りなす日常は、爽やかな読後感を呼ぶ。キリスト者ではない人にも勧めたい、肩の力が抜けた良書。

【本体1,100円+税】
【女子パウロ会】978-4-7896-0794-0

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