【書評】『リフォームド神学事典』 ドナルド・K・マッキム編

「神学事典」ができるまで

 『リフォームド神学事典』の翻訳は、2006年6月、札幌で行われた「日本福音同盟」(JEA)総会で、村瀬俊夫先生から「改革派と長老派で一緒に本を訳しませんか」と持ちかけられたことに始まる。その後すぐに、村瀬先生は私の牧する田無教会をお訪ねくださり、1冊の本を差し出された。それが本事典の原著である。数週間、拝借して関心のある数項目を読み、「これはぜひ翻訳したい、翻訳すべきである」と確信した。私の力不足と忙しさから石丸新先生に加わっていただき、監訳者として村瀬、石丸の両先生を迎えて行うこととした。

 出版について、いのちのことば社と交渉したところ、快く引き受けてくださり、面倒な版権取得などの交渉も同社が担当してくれた。日本キリスト改革派教会と日本長老教会に属する者たちの協力による翻訳事業ではあるが、教派間の公的なものとはしないこと、基本的にはいのちのことば社の出版とすることを決め、翻訳の協力を伝道・牧会の最前線で奉仕している両教会の中堅、若手の牧師たちに依頼した。

 本事典の翻訳・出版を決意したのは、日本には類書がほとんどないからである。神学事典類はあるが、明確に「リフォームド」の視点に立つものは皆無に等しい。しかも本書は、改革派の伝統を明確に継承しつつも、狭い教派的主張を極力抑え、歴史的に公平な視点で事柄を取り扱っていることである。改革派の伝統を総合的に受け止めるのに貴重な助けとなるもの、と信じている。神学事典ではあるが、教義学の伝統的な項目にとどまらず、教会を取り巻く社会的な課題に対しても、今日的視点から幅広い取り組みがなされている。

 翻訳については、二人の責任監訳者が田無教会の小部屋に集まり、一言一句を訳し直すように推敲を重ね、三人の監修者にいのちのことば社の編集者・長沢俊夫氏が加わって日本語としても読みやすい文章にしようと努めた。本書の出版が、日本における改革・長老系諸教会の日本宣教150周年、さらにカルヴァン生誕500年と合致したのは、幸いなことであった。(もちづき・あきら=日本キリスト改革派田無教会牧師)

【本体6,200円+税】
【いのちのことば社】9784264027294

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