【雑誌紹介】 「女からの解放」「女としての解放」 『福音と世界』6月号

 特集「労働に希望はあるのか」。編集者は《本特集では、現代の労働についてその構造やエートスの考察にくわえ、さまざまな現場の視点から多角的にアプローチする》と意気盛んだが、≪既存の労働観念とその現場が自壊寸前なさまを見つめつつも、絶望に浸らず、人の命と誇り、歓びと希望をつなぐ「働き」のかたちへと手をのばしたい≫という所まで行けるのか。

 SWASH(Sex Work And Sexual Health スウォッシュ)代表の要友紀子が「セックスワーカーの人権を考える」で『「女からの解放」か「女としての解放」か』を問う。

 ≪セックスワーカーの人権を考える上で、セックスワークをどう考えるべきかという問いは避けて通れません。古今東西を問わず、セックスワークについては「ジェンダー」「貧困」「婦人保護(女性自立)」の三つの視点から語られることが多く、「労働問題」として取り上げられることはほぼないと言っても過言ではありません≫と言う。そして≪セックスワークに対する問題意識は「セックスワーカーは救済されるべき人々」で、「セックスワークは本来あってはならないもの」という見方に基づいたものがほとんどなのです。この見方が世界中に遍在していることは、世界各国のセックスワーカーたちの運動で「救済者から私たちを救済してください」(”Saveus from saviours”というスローガンが広がっていることからも明らかです≫と。

 問題の複雑さは、末尾で筆者が《当事者が仕事を辞めたいと思うようなことがあったときに、ただ辞めたいという思いを支援することだけに終わらず、辞めたいと思うような出来事は何だったのか、それはどのように改善が可能かというところまでを一緒に考えてもらいたいのです》という。

【本体588円+税】
【教文館】

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