【書評】 井上洋治著作選集10『日本人のためのキリスト教入門』

 日本人の心にキリストの福音を伝えることに生涯をかけたカトリック神父、井上洋治(1927~2014年)。

 帰天の際、生前に親交のあった多くの人々から感謝を表したいという声が、神父が立ち上げた「風(プネウマ)の家」に寄せられた。それを受け「井上洋治著作出版基金」が発足、翌年から選集の刊行が開始され、この度完結した。 最終巻の本書は、神父が1987年から翌年にかけて慶応義塾大学で行った講義から12回分をまとめた。

 「本書がいう『入門』とは、専門を広く浅く捉えることではなく、宗教固有の安らぎの世界の『門』に『入る』よう導くもの」と編者の山根氏は語る。

 本書は1冊で「神と世界の関わりや人格神をどうとらえるか」「キリスト教と日本文化」など、井上神学を網羅している。巻末の寄稿で批評家の若松英輔氏は、本書を遅れてきた彼の遺言と語る。「遺言は書かれた時に完成するのではない……読まれ、実践されたとき、はじめていのちを帯びるのである」

【本体2,500円+税】
【日本キリスト教団出版局】

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